1820年になってはじめて人類に発見された「白い大陸」南極は、面積1,400万平方キロメートル(日本の大きさの約37倍)、手付かずの大自然が残された地球最後の秘境の地。巨大な氷山が海に浮かび、万年雪を湛えた屹立した山々が聳えます。南米から南極大陸を目指し、広大で美しい流氷や氷山を縫うように航海します。ゾディアックボートに乗船し、ペンギンやアザラシ、クジラ、海鳥などの野生生物のありのままの姿を観察することもできます。一般の観光客が訪れるようになってからわずか40年。限られた人数の観光客だけが訪れることができます。地球上最も隔絶された果てしない「白い大陸」です。
サウスシェトランド諸島は、ドレーク海峡の南端、ブランスフィールド海峡によって南極半島と隔てられています。11の大きな島と多くの小さな岩からなり温暖で湿度の高い変化に富んだ島々です。ハーフムーン島ではヒゲペンギンやナンキョクアジサヒやトウゾクカモメ等が、リビングストン島ではゼンツーペンギンやマカロニペンギン、ゾウアザラシ、ナンンキョクオオフルマカモメ等、ペンギン島ではヒゲペンギン、ナンキョクオットセイ、ゾウアザラシ等が見られます。南極では珍しい活火山の島デセプション島は1万年程前に大きな火山の頂上部分が大噴火して陥没し、そこに海水が流れ込んで馬蹄形の島となりました。デセプション島の湾入口は狭く「ネプチューンズ・ベローズ(水神のふいご)」と呼ば湾内の海岸線の海水は地熱によって温められています。
南大西洋、南極半島にほど近い海に浮か三日月形の島がサウスジョージア島で1675年に発見されました。この島には何十万というキングペンギンの大営巣や何千頭もの巨大なアザラシ、オットセイ、鳥類など多種多様な野生生物が険しい崖や海岸に生息しています。フォーチュナー・ベイではキング・ペンギンやアザラシ、ゴールドハーバーではナンキョクアザラシやゾウアザラシ、クーパーベイではマカロニペンギン、キングペンギン、顎ひげペンギンなとの営巣地があります。100年ほど前探検家アーネスト・シャクルトンがエンデュアランス号に乗って南極横断に挑み南極海の氷塊に阻まれ座礁し1年余漂流した後に辿り着いたのがサウスジョージア島でした。サウスジョージア島 最大の停泊地グリトビッケンにはサウスジョージア初の捕鯨基地が1905年に設立されました。現在はシャクルトンのお墓や、教会、捕鯨基地跡、郵便局等があります。
南極半島の北東1,360kmに位置し、全域がほぼ不毛の無人島からなるサウスオークニー諸島全体は、分厚い氷河に覆われていて、ウェッデル海の北という地理的条件から、冬の厳寒期には南極海の氷で囲まれてしまいます。1821年アメリカのナサニエル・パーマーとイギリス人アザラシ猟師のジョージ・パウエルによって発見されました。
南大西洋上に浮かぶイギリス領のフォークランド諸島は、420以上の島々から成り立ち、その内の東フォークランド島と西フォークランド島が、陸地の殆どを占めています。首都はスタンレー。フォークランド諸島の中では、活気あふれる場所です。フォークランド諸島には、キングペンギン、ゼンツーペンギン、イワトビペンギン、マカロニペンギン、マゼランペンギンという5種類ものペンギンが住み着いています。 アホウドリ、フルマカモメ、ヒョウアザラシやアシカ野も見ることが出来ます。
世界最南端の都市として「世界の果て」と呼ばれるウシュアイアはアルゼンチン南端フエゴ島にあります。夏には南極クルーズの玄関口として多くのクルーズ船がウシュアイアに寄港します。ウシュアイアの街の前にはビーグル水道が広がり、この水道を通って南極に向かうのです。市内にはかつては刑務所建設用の木材を運んでいたSL列車が今では「世界の果て号」として街中を走っています。先住民や昔日のウシュアイアを紹介している「世界の果て博物館」やティエラ・デル・フエゴ国立公園内には「世界の果て郵便局」があります。
南極大陸の最北端に大きく突き出たS字型の陸地が南極半島です。南極大陸内部と比べ気候も温暖で動植物も比較的豊富です。ナンキョクコメススキやナンキョクシドリナデシコの顕花植物はここでしかみられません。かつては捕鯨船の避難場所であったポートロックロイには当時を物語るクジラの骨が残ってます。ピーターマン島はジェンツーペンギンの南限営巣地。南極半島で最も美しいと言われるパラダイス湾は氷の絶壁や様々な氷山に囲まれた穏やかな湾です。捕鯨船の最良の停泊地だったためパラダイス湾と名付けられたと言われています。ここにはアルゼンチンのアルミランテ・ブラウン基地があります。南極半島グレアム海岸とブース島の間にある長さ11.2㎞、幅40mのルメール海峡は南極半島で最も風光明媚な海峡と言われています。両端には雪を被った峻厳な山々が迫る狭い海峡を氷を砕きながらゆっくりと船が進み息をのむ美しさです。