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TRAVEL NOTES
クルーズ旅行記
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ゆったりと楽しみたい大人におすすめのクルーズ

2021.10.06
おすすめクルーズ情報

クルーズ客船にはいろんな分類の仕方があります。今までにもいくつか紹介しました。

最も典型的な分類がカジュアル/プレミアム/ラグジュアリー、と3つのカテゴリーに分けること、また日本船と外国船という分け方もあります。さらに船会社の系列で分ける場合もありますね。

これから紹介するのは客船の大きさによる区分けがテーマになりますが、いずれも必ずそうだといった結論は出しにくい点はご了承ください。

それでは、余裕を持った大人にこそ相応しい魅惑のスモールシップクルーズの世界をご紹介していきます。

スモールシップ/ブティッククラス

現在のクルーズ客船のお話になるとだいたいは大型の客船がテーマになることが多いのですね。

22万㌧、6000名以上の乗客となると話題性抜群で、実際に最近の新造船はほとんどがいわゆるメガシップと呼ばれる大型船が多かったのは事実です。

でも最近は大きさは小さくても豪華でゆったりとしたクルーズを楽しみたいといった需要も増えてきています。

今まであまり話題にはならなかった比較的小さな船会社が脚光を浴びてきて、その需要に沿った客船が建造される機会が増えてきています。

その中でも総トン数1万㌧前後で定員200名以下の客船をヨットタイプと呼ぶこともあります。あたかもヨットの所有者のようにプライベート感が楽しめるという意味合いからです。

もう少し大きめの5万トン前後で500名前後の定員でもブティッククラスと呼ばれることもあります。

こういった客船は実際に乗船してみると、外から見る以上に船内がゆったりとしていて、大型客船以上の大きさを感じます。

これはプライベートスペースもパブリックスペースも定員が少ない分大型客船に比べてかなり広くなります。

それと乗客一人当たりの乗組員/クルーの人数が多く、それだけきめの細かいサービスが可能になるんですね。

例えば、カジュアル船では一人のクルーが平均2.5人の乗客一人にサービスを行います。ところがスモールシップでは平均1.3人に対応します。

ほぼ倍の数字ですから、それだけお客さまへの対応密度が濃くなります。

レセプションでも、「お客さま」と呼ぶのではなく「〇〇様」と名指しで呼ばれる機会も増え、どの施設に行っても丁寧な対応が行われます。

お食事も見た目の豪華さよりメニューの内容とお料理の質で高級感あるお食事で満足できますし、ある程度のわがままなリクエストも聞いてくれます。

シーボーン、ハパグロイド、シードリーム・ヨットクラブ、シルバーシーなど数社が人気です。

運賃は少し高めになって、1泊当り600ドルぐらいからでしょうか。

その代わり船内の施設やお食事以外のサービスも超一流、言ってみれば5つ星以上の超高級ホテルと同等以上のサービスと思ってください。

ただしホテルのような堅苦しさはありません。例えばフォーマルのようなドレスコードはなく、スマートカジュアルが基本です。ウェルカムパーティでもタキシードを着る方はいません。

とはいえ、着ている洋服の高級感は半端ではないかもしれませんね。この雰囲気に慣れるまでは少し時間がかかりますね。

でも決してお金持ちだけのクルーズではないことは断言できます。セレブのリピーターの多い割には雰囲気はカジュアルで心配いりません。

スモールシップの中でも、飛鳥Ⅱのように5万トンクラスで高級感のある客船も人気があります。

やはり大型客船にない雰囲気とサービスが人気で、ショーやイベントにも少し幅が出てきてブティッククラスと両方を楽しむ方も多いです。

下船後に市場に行って食材を仕入れるツアーなど、大型船ではできない寄港地観光ツアーを組みいれています。

すべてではありませんが、ある程度少人数のツアーを運賃に組みいれて無料でご案内する客船が増えつつあります。

スモールシップはその大きさからあまり外洋に出てスピードは出しません。

できるだけ揺れを防ぐため、地中海などでは近距離の沿岸を中心に移動します。

その代わり大都市だけではなく、訪問しないような隠れた田舎の街や村々を訪問してその地方を満喫できる日程の組み方が多いですね。

フランスのコートダジュール、スペインのアンダルシア地方沿岸、アドリア海沿岸など珠玉の街が続きます。

大型船が通れない、入れない寄港地を巡るユニークな航路も売りです。コリントス運河やキール運河などなかなか体験できませんね。

クラシックスタイル

クルーズの世界にはまだまだ古い客船会社が運航されていて、隠れた人気を保っています。いわゆる大航海時代の古き良き時代の雰囲気が残されています。

エリアとしてはヨーロッパが主体になりますが、その代表はサガ・クル-ズという名前の船会社です。

私は、今は運行しなくなりましたが「サガ・フィヨルド」という客船に2度乗船しましたが、思い出すたびに感激します。一回は何と沖縄で、もう一回は北欧のノルウェー・フィヨルドでした。

英国人の乗客が多く、あの伝統がそのまま船内に残っていて、一般のスモールシップとは真逆でフォーマルではほとんどがタキシードかディナージャケットでした。

それにしても英国人は日本人とよく似ていますね。古き良き時代を残している割に乗客の皆さんもやさしくて、外国人にも気を使っておもてなし精神が満喫できました。

船の大きさは違いますが、キュナードの伝統とある意味重なるイメージはあります。

現在は比較的新しい「サガ・サファイア」/約37,000㌧という客船が運航されていますが、日本人が乗船してもきっとお気に入りになるでしょう。

帆船

大航海時代、という言葉を聞くとなんとなくあのカリブの海賊を想像してしまいます。

17世から18世紀にかけてヨーロッパの列強が競って世界中をまわったあの時代です。当然エンジンなんてものはありませんから、船の移動手段は風を利用した帆船でした。

現代の私たちには想像できませんが、一度はエンジンを使わない帆船での旅を体験してみたいと誰でも思うものですね。

ところが実際に帆船で航海を行う船会社があるんですね。シークラウド・クルーズ、スター・クリッパーズ、ウインドスター・クルーズ、以上の3社が代表的な帆船クルーズ会社です。

運航エリアとしては地中海やエーゲ海・アドリア海などが人気で、スモールシップとはある意味で同じような運航スケジュールがあります。

帆船と言っても現代の帆船はもちろんエンジンと併用しながら移動しますが、天候と波の状態が良い場合は風力だけでの運行します。

帆の上げ下げを体験したり、甲板そうじ体験、ボートで帆船の周りを周回しながら写真を撮ったりと、帆船ならではのイベントが楽しめます。

現代のクルーズ客船とは全く異なる世界を体験しましょう。

グルメと探検船

乗船客が100~300名程度だからこそできるグルメ料理、こんな贅沢なお料理が楽しめるなんてまさにスモールシップの世界でしか体験できません。

例えばフランスにはポナンという船会社があります。選りすぐりの素材を生かした本格的なフランス料理のフルコースが用意されます。それもワイン付きです。グルメを自慢する方には一度は乗っていただきたいですね。

数隻の小型船を世界中で運行していますが、例年春と秋には日本発着クルーズを実施しており、“ガストロノミック”(食通の船)の異名で大人気です。

探検船と銘打ったスモールシップも人気ですね。つまり、南極・北極やアマゾン、アジア・アラスカなど極地を中心に運航します。まさにエクスペディション(探検)という名前の船もあります。

探検船と銘打たなくても普通の大型クルーズ船が南極クルーズを行う場合もありますが、上陸が難しくクルーズオンリーになります。

南極は環境保全の制約が厳しく、上陸しながら動物たちを観察するのであればやはり専門の探検船の方がいいですね。

もちろん上陸しなくても南極半島をクルーズで周遊するだけでも十分楽しめますよ。

揺れない・酔わないリバークル-ズ

最後に究極のクルーズと言われるリバークルーズの紹介です。

歴史的に世界文明の発展は川によってなされた、という先生方もいらっしゃるぐらいです。学校でもそう習いましたね。

世界4大文明は、ナイル、ティグリス・ユーフラティス、インダス、黄河、この4つの川の流域に発展してきました。

その後の歴史を見ても世界中のどの国も川に沿って街が発展してきたのは事実のようです。

ところが、その歴史の痕跡が沿岸沿いにたくさん残っているにもかかわらず、現代の観光地として取り残されている地域が本当に多いのです。

そこでそんな隠れた遺産を巡るリバークルーズがこれからの目玉になりそうな予感がします。特にヨーロッパではたくさんのリバークルーズ船が運航されています。

スイスからオランダに流れるライン川、オーストリアから黒海へのドナウ河、この2つが一番の人気です。

他にもフランス北部のセーヌ川と南部のローヌ川、スペインからポルトガルに流れるドウロ川、イタリア北部ベニスに流れるポー川、などたくさん運行しています。

船会社も多く、クルーズ客船同様、いくつかのカテゴリーがあります。

高級ブランドですと、アマ・ウォターウェイズ、バイキング・リバー、ユニワールドなど、中級クラスではルフトナー、カジュアルクラスではクロワジーなどそれこそ数えきれないほどの船が運航されています。

ライン川というと、ドイツでの観光の目玉でライン川クルーズを軽々された方も多いと思いますが。

ローレライの岩の前を通ると音楽が流れ船内放送があります。ああ、あれがあのローレライの岩か、と感激したものです。

ところが実際のリバークルーズではアムステルダムから1週間かけてドイツ中部までクルーズします。

また、ドナウ川クルーズではドイツ南部からオーストリア・ハンガリーまで1週間かけてクルーズします。

船はいずれも3~4階までしかない小型船です。定員もせいぜい150名ぐらいまでです。川にかかる橋を通過する関係で大きな船は通れませんから。

でも、最上階のデッキからみる眺めはこれぞ絶景の連続です。前方に180度広がる川の両側に流れる風景、両側に現れる古城や教会、世界遺産の村々、もうイベントもショーもいりません。

デッキに腰を下ろしてビール片手にくつろぐだけでまさに命の洗濯、これ以上の贅沢はありません。表題にも書きましたが、揺れない・酔わない、これもリバークルーズの大きなメリットです。船酔いの心配はまったくありません。

寄港地に着けばそこはすぐ街、桟橋に停泊すると15分ぐらいでブリッジがかけられすぐ下船できます。

散策して疲れればすぐ船に戻って一休みしてまた出かける、こんな観光ができるのもリバークルーズならではですね。

大きななショーがない代わりに、寄港地の民族衣装を着た人たちが素朴なショーで楽しませてくれます。

お食事もスモールシップ同様に小型船ならではの洗練された豪華なメニューが楽しめます。

ヨーロッパ以外ではロシアのボルガ川もおすすめです。サンクトペテルブルグとモスクワ感を1週間で結びます。

ロシアのイメージとは全く違う素朴なロシアの人々との触れ合いやロシア正教の伝統文化など普通のツアーとは一味違った体験になります。特に木造のみで建てられたキジ島の教会は圧巻ですよ。

最終日には乗船客のグループごとに歌や踊りの発表会が行われ、本当に楽しいクルーズです。

ロシア南部アゾフ海に面したロストフからドン川を経由して、サンクトペテルブルグまで約2週間のロシア縦断クルーズは一生の思い出になっています。

ヨーロッパ以外ではカンボジアからベトナムに流れるメコン川やミャンマーを流れるイラワジ川も人気ですね。両岸に流れる遺跡や仏教寺院のパゴダはヨーロッパに勝るとも思える絶景です。

中国三峡クルーズも感激しますね。三国志の世界が広がり、長江か連なる三峡の世界は見ごたえ充分。絶壁に作られた遊歩道を見ていると背筋が寒くなりますが、よくぞこんなところにと驚きの連続です。

スモールシップの世界は大型客船とはコンセプトが180度異なります。

ある意味で対局になるかもわかりませんが、贅沢に豪華な船旅をというよりも、今まで体験したことのない歴史遺産や文化・自然の絶景などのテーマ性を持ったクルーズになります。

予算もある程度はかかりますが、満足度を考えるととてもリーゾナブルだと思います。

日数的には1週間パターンが一般的で比較的参加しやすいのですが、個人的にはぜひ長いクルーズでのんびり過ごしてほしいですね。

リバーでは、ライン・ドナウ運河を経てアムステルダム~黒海間がつながっています。

約3週間のリバークルーズで、オランダ・ドイツ・オーストリア・ハンガリー・ルーマニアとヨーロッパを縦横断します。これこそ究極のクルーズ体験になると思いますよ。

執筆者 | 小林進
クルーズ
マスター
1973年物流系の大手旅行社に入社、海外パッケージの販売促進を担当。5年後に団体営業の部署に移動、企業研修視察や国際交流基金・歌舞伎の海外公演など日本の伝統文化団体の海外交流ツアーなどを主に営業を行う。1985年からは、「友情の船」と題した小中学生のグアム・サイパンへのクルーズ研修企画をフジテレビおよびその系列の数局と10数年に渡り実施。またシニアの洋上研修なども実施しながら外国客船を利用した一般海外クルーズの企画販売にも取り組む。2001年にクルーズ専門旅行社に移り本格的に海外クルーズの企画販売を15年以上専任担当、2016年からクルーズバケーションで現在に至る。以前より若い世代のクルーズ体験や研修に注目し、大学や専門学校の研修クルーズに力を注いでいる。海外添乗・出張は200回以上、クルーズ添乗は国内外で約150回以上、世界中の客船やリバークルーズ船に乗船し訪れた寄港地は200都市以上におよぶ。(2008年日本外航客船協会クルーズマスター認定/認定番号0026)
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