クルーズと聞くとどうしても船内生活と寄港地の観光が頭に浮かびますが、実はさまざまなイベント会場としても利用できるんですね。
例えばいろいろな団体がセミナーを行ったり会社の記念行事を行ったりする会場として客船を利用します。ついでに参加者はクルーズも楽しめるという一石二鳥のメリットがあるわけです。
そんな利用方法の中で、個人のアニバーサリーを洋上で、という方が増えています。アニバーサリーという言葉を直訳すると記念日ということになりますが、その意味合いの幅は結構広いようです。
目次
洋上ウェディングとハネムーン
結婚式というと圧倒的に結婚式場でというのが一般的です。たくさんの友人やご家族に囲まれて挙式を上げることは人生の中でも最も大切なことのひとつです。一生の思い出として残るようにしたいものですね。
そこで登場するのが洋上ウェディングです。若いカップルの皆さんにとっては人生最大の記念日事業「ウェディング」、その会場としてこれほどロマンチックな会場はないのではないでしょうか?
皆さんあまりご存じないかもしれませんが、外国船には必ず(と言っていいでしょう)チャペルがあり、毎週日曜日にはミサが行われます。そのためにはもちろん牧師さんも必ず乗船しています。
クルーズ会社ではご希望があればそのチャペルを利用したウェディング・パッケージ(有料)を用意しているんですね。日本ではあまり宣伝されていませんが、実は隠れた人気パッケージなんですよ。
海外、特にハワイでの挙式は日本人の間でもそれなりの人気がありますが、洋上挙式というのはあまり聞いたことがないでしょう。
私は外国船上でタキシードとウェディングドレスに身を包んだカップルが船内をまわっている姿を、過去何度か見たことがあります。それはもう幸せそうなカップルで、何よりも全くしらない乗客がみな拍手でお祝いしていました。
それもキャプテンが先導してくれていました。おそらくチャペルで挙式を上げた後だったんでしょうか、船内全体が祝福の嵐で盛り上がりました。
こういったパッケージは多くのクルーズ船で独自に企画されていますので、予約と同時に相談いただければご案内できます。
どんな内容かちょっとご紹介しますね。例えば、プリンセスクルーズの場合です。
Engagemento under the Stars 星空の下のプロポーズ
なんと、なんとプールサイドにある映画上映用の巨大スクリーンを通じて彼氏が彼女にプロポーズできる、というサプライズ企画です。もちろん未来の花嫁には内緒のですよ。
記念のポ-トレイトはもちろんですが、直後のお祝いのシャンパンとバラ、ロマンチックなお部屋での特別な朝食と特別レストランでの記念ディナーなどが付きます。
まだ彼女に言い出せない彼氏の皆さん、こんなプロポーズ考えられますか!
Wedding ウェディング
これはもう説明いりませんね。専門のコーディネーター会社がアレンジしてくれますから安心です。
親族だけのアットホームな挙式からゲストをたくさん招いた盛大な挙式までと豪語しています。
挙式だけとか、披露宴的な食事会を含める、パーティ、記念写真のアルバム作成、なんでもご希望に応じてアレンジしてくれます。
そうそうキャプテンが介添人として列席してくれるなんて、本当にうれしいですね。いっしょに記念写真もぜひどうぞ!。挙式の証明書もキャプテンのサイン入りですから、大切にしてください。
予算的には日本の結構式場を考えるとかなりお安い費用でいいと思います。
挙式自体だけであればそれほどかかりませんが、当然ハネムーンを兼ねてのイベントですから、用意されているオプションパッケージをぜひ追加して華やかなウェディングにしてみませんか!
記念のドリンク類、食事、花、グッズやぬいぐるみ、とにかく説明しきれないほどたくさんのオプションが用意されていますよ。
Honeymoons ハネムーン
挙式をしなくても、ハネムーンとして乗船されている方には、ハネムーン・パッケーというオプションがあります。
お部屋にお祝いのシャンパンやバラの花、フレーム入りのポートレートや記念のチョコなどがお部屋に届けられると、それだけで幸せ気分満開ですね。
ディナーではウェイターがお祝いのケーキを持ってきて他の乗客の皆さんといっしょに歌を歌ってくれたりして盛り上がります。
結構式場での定番式次第とは全く違いますが、海外でのお祝いは楽しさが違います。
洋上アニバーサリーで二人の愛を永遠に!
ハネムーンカップルを見ていると、ああ私たちも昔はねえ~、とおっしゃる方、大丈夫ですよ。皆さんにもちゃんとアニバーサリー・パッケージが用意されていますよ。
“renewal of Vows” 新たなる誓いを
日本ではあまり聞きませんが、欧米では結婚して5・10・15・20年と幸せに続いていることをお祝いして、感謝の気持ちを再確認するイベントとして一般的です。
セレモニーはもちろん、キャプテンのサイン入り証明書、ポートレート写真、シャンパンとブーケ、記念のチョコレート、ウェディングに劣らない内容でお祝いしてくれます。
10年ほど前でしょうか、クイーン・エリザベスの船内で年配のカップル向けのバウズ・セレモニーがありました。
キャプテンと牧師さんが立ち合い、カップルごとに祝福してくれる様子に感激しました。お客さまの2カップルが申し込まれましたので私も参列しました。
もともと仲の良かった方々でしたが、ある方が涙を流しながら私に礼を言われた時は、こちらもついもらい泣きの状態でしたが、こんな時こそ添乗員冥利に尽きる瞬間でした。
洋上のアニバーサリーはロマンスだけではありません!
記念日と言っても、その中には数限りない記念日があります。
代表的なものがお誕生日と結婚記念日ですが、それ以外に周年祭、周年記念事業が一般的ですが、それ以外に入学記念、退職記念などのお祝いとしても広い意味で利用されています。
船内ではこういったアニバーサリーのお祝いをやってくれます。スタッフがお祝いしてハッピーバースデーを歌ってくれると、自然に周りの外国人からもお祝いが飛び交います。
それだけでも大感激ですが、少し金をかけただけで、陸上では得られない体験ができてさらに盛り上がります。
大人だけではなく、子供向けのキッズ・セレブレーション、ティーン・セレブレーションというパッケージもありますから、ご家族で参加して楽しむのもいいですね。プリンセスのキャプテン・ベアというぬいぐるみが大人気ですよ。
外国船ではキッズ向けのプログラムが充実していますから、安心してご家族でお祝いしてあげられますし、お子様以外の方は子供とは別にちゃっかり楽しめるという利点もありますよ。
そうそう、亡くなられた方の命日もアニバーサリーとして船上で個人を偲ぶ方もいました。
ヨーロッパの北海沿岸クルーズ(オランダ・ベルギー・フランスなど)の時に、第二次世界大戦で戦死された家族のアニバーサリーを行ったご家族がいて、北フランスのノルマンディー沖を通る時に祈りを捧げていらっしゃいました。
日本船でも経験しました。フィリピン海レイテ沖を通る船内で館内放送があり、皆さんお祈りして黙とうを捧げていました。
私は戦後生まれですが、戦争の悲劇は絶対に繰り返してはいけないと心を新たにした記憶があります。
前回では、家族みんなで楽しめるファミリークルーズを紹介しました。そして今回は幸せなハネムーンカップルと、人生を生き抜いた経験豊かなお二人が誓いを新たにするアニバーサリー、いかがでしたか?
クルーズは、船内を楽しみ、そして寄港地の歴史と文化を体験する船旅であると同時に、人を幸せに導く、まさに「クルーズこそ人生そのもの」であるということを納得していただけましたか!
次回からは世界のクルーズエリアと寄港地での体験をご紹介していきますので、ぜひ引き続きご覧いただければ幸いです。