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TRAVEL NOTES
クルーズ旅行記
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さまざまな文明と文化が交錯する東南アジアの船旅

2021.08.25
歴史と自然満載クルーズエリア

日本人の海外旅行渡航先を見てみると、トップ20に入っている国は半数以上が実は東南アジアの国々なんですね。(現在のパンデミック以前のデータですが)

中国・韓国・台湾・香港以外にタイ、シンガポール、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピンなどです。

安近短という条件もあって手軽に行きやすいという事情もありますが、やはり日本人にとっては歴史的にかかわりが深く、また文化的にも衣食住の生活様式がなじみやすいということで多くの観光客が訪れているのでしょう。

一言で東南アジアと言っても、各国独自の歴史と文化があってとても興味深いですね。長い間ヨーロッパ列強国の植民地支配が続き、鎖国日本にはない苦難と独立の歴史があります。

そこで船旅です。寄港地での観光ポイントも歴史あり遺跡ありで、日本との比較が楽しいですし乗客の層がやはりアジアのお客さまが多く、そういった方々との船内での交流も船旅ならではの経験です。

クルーズシーズン

特にクルーズのシーズンというよりは一般的な観光シーズンと重なることになります。

アジアは夏蒸し熱いということで、どちらかというと秋から春の方が観光しやすいということが言えますが、でもクルーズほぼ年間を通して運行されているんですね。

寄港地の観光から帰れば快適な船内が待っています。移動も寝ている間に次の寄港地まで移動して“朝目覚めれば新しい世界がまっています”、この言葉どおりです。

大汗をかきながら重い荷物を持って移動することもありません。まさに南国こそクルーズの出番ですね。

主な寄港地

東南アジア諸国の中ではシンガポールが発着地として人気が高いですね。ここを起点にしてマレーシアやタイ、ベトナムなどへ周遊します。

また、中国にも歴史的に興味深い港町がたくさんありますし、食の文化も忘れてはいけない楽しみです。

シンガポール マリーナベイ・クルーズセンター
タイ レムチャバン/バンコク、ランカウイ、プーケット
マレーシア ポートケラン/クアラウンプール、ジョージタウン/ペナン島
ベトナム ブンタウ/ホーチミンシティ、ニャチャン、ダナン、ハイフォン/ハノイ、ハロン
インドネシア ジャカルタ、デンパサール/バリ島、スラバヤ
フィリピン マニラ、セブ
カンボジア シアヌークビル
中国 上海、天津/北京、大連、青島、海南島、厦門、香港
韓国 仁川/ソウル、釜山、済州島
台湾 基隆、高雄、花蓮

以上、代表的なクルーズ寄港地として組み込まれる港町を挙げてみました。こうやって列挙してみると本当に個性的な街が巡れるんですね。

私自身もほとんどの街を訪れましたが、これだけの都市を網羅するのは一見大変そうですが、つらい思いをしながら行ったという感覚があまりなく、楽しかったなあ~という思い出しかありません。その辺が船旅の良さなんでしょうね。

具体的なエリアとクルーズコース例

シンガポール発着 マレーシア・タイ・ベトナム周遊3~7泊以上コース

シンガポール

何といっても東南アジアのクルーズはシンガポールが中心と言っても過言ではありません。

シンガポール発着のコースは年間を通じて設定されていますし、ある意味ではアジアのハブ港と言っても過言ではないでしょうね。

シンガポールはとても小さな都市国家ですが、観光ポイントはセントーサ島や市内オーチャードロードでのショッピング、高級ホテル宿泊と世界の食体験などたくさんのポイントがあります。

このシンガポールを起点にして周辺国を巡る比較的短いコースが人気です。

マレーシア

マレーシアでぜひ見ていただきたい寄港地はポートケランとペナン、マラッカの3カ所です。

ポートケランは首都クアラルンプールへの港です。

バスで40分ほどで市内に入ると高層ビルが立ち並ぶ近代都市ですが、いたるところにあるモスクやチャイナタウンとのコントラストが美しい街を作っています。KLタワーからの絶景はぜひご覧ください。

またペナン島の世界遺産ジョージタウンの旧市街では、東インド会社時代の痕跡が残りコロニアル様式の街並みの中を、マレーシアの人力車と言えるトライショーでまわるとアジアの異国情緒が満喫できますよ。

最後にマラッカ、そうです。あのマラッカ海峡のマラッカです。マラッカ海峡が太平洋とインド洋を結ぶ海上交通の要衛になっていることはご存じと思いますが、意外に街があることは知られていません。

目抜き通りのチャイナタウン、仏教寺院、ジャワ風のモスクなどエキゾチックな街並みが美しい古都です。

タイ

次はタイ、微笑みの古都バンコクは残念ながら大型客船は直接寄港しませんが、郊外のレムチャバント港に寄港します。

バンコクまでは車で約2時間になりますが、皆さんよくご存じのパタヤビーチまでは30分もかかりません。

バンコク市内では、王宮とエメラルド寺院やワット・ポーなど定番の観光ポイントも素晴らしいのですが、ぜひ水上マーケットにも行ってみてください。

それと周辺には素晴らしい遺跡が残っています。中でも日帰りでご覧いただける世界遺産アユタヤはおすすめです。

18世まで400年以上タイ王国の首都として繁栄し、日本からのご朱印船もたくさん訪れ、そうあの山田長政が活躍した時代ですね。

マレー半島のプーケット島も忘れられない寄港地ですね。バンタオビーチとバトンビーチは欧米の観光客に大人気というのもうなずけます。

ボートで行ける離島ピピ島も映画のロケにも使われる美しいビーチがあって必見です。アンダマン海を見渡せるプロンテップ岬の絶景もお忘れなく!願いが叶うパワースポットとしても人気ですよ。

ベトナム

タイに隣接するベトナムは南北に細長い国です。北のハノイ、南のホーチミンシティ(旧サイゴン)、この2都市が中心ですが、その印象はかなり異なりますね。

ハノイは隣接する中国文化1000年以上の歴史のある古都、ホーチミンは南方文化とフランス占領時代の名残がある近代都市、東京と大阪の文化の違いに似ているかもわかりませんね。

シンガポール発着ではホーチミンに近いプーミーという港町に寄港します。ホーチミンまではバスで約3時間近くかかり、ホーチミン市内の滞在が少ないのがちょっと残念ですね。

もうひとつ、中部のビーチ・リゾートエリアとして脚光を浴びているニャチャンにも寄港します。ベトナム戦争時代に駐留していたアメリカの軍人が好んで楽しんでいたそうです。

郊外にはポー・ナガル塔というヒンズー教の寺院跡が残されていてこれもぜひご覧になってください。近くには魚市場あってベトナム魚醤ヌクマムで食べるお魚は最高です。

3~7泊では、これらの寄港地の組み合わせを変えてたくさんのコースが設定されています。

また少ない設定日ですが、10泊以上のコースもありますよ。のんびりクルーズを楽しみながらアジアの文化を体験するにはこちらの方が満足度が高いですね。

香港発着4~5泊コース

香港という名前の響きには独特の哀愁がありますね。これは私だけでしょうか。

映画「慕情」の舞台となり、ウイリアム・ホールディンとジェニファー・ジョーンズの役柄もあの香港の哀愁があればこそです。

二人が会っていた丘が現在のビクトリアピークと言われてもピンときませんが、私が初めて香港をとずれた時は映画の雰囲気が残っていて、その旅情にハマってしまいました。

現在は政情不安もありなかなか行きずらいのですが、香港そのものの魅力は変わらないことを願うばかりです。香港の魅力についてはまた別な機会にお話ししますね。

現在の香港発着コースとしては、中国・海南島とベトナム、そしてフィリピンが設定されています。

海南島

香港から南に下りベトナムとの国境に近く、中国国内では近年「中国のハワイ」と呼ばれハネームーンのメッカとして人気のリゾート島です。

島の南にある三亜のメインストリートには高層ホテルやマンションが立ち並んでいます。

ベトナム

海南島に隣接するベトナムは南北に細長い国です。香港発着で寄港するのは北のハロン湾周辺です。大型客船が寄港するのはチャンメイとニャチャンが多いですね。

チャンメイは現在のベトナム中部の一大産業都市ダナンの港であり、北には世界遺産の古都フエ、南には海のシルクトード拠点として発展した世界遺産ホイアン旧市街があります。

ホイアンにはご朱印船貿易で栄えた日本人街が残されていて、あの時代に日本人はここまで来ていたのかと感動、日本人のルーツを感じてしまいます。

一転してビーチ・リゾートエリアとして脚光を浴びているニャチャンです。ベトナム戦争時代に駐留していたアメリカの軍人が好んで楽しんでいたそうです。

郊外にはポー・ナガル塔というヒンズー教の寺院跡が残されていてこれもぜひご覧になったください。近くには魚市場あってベトナム魚醤ヌクマムで食べるお魚は最高です。

フィリピン

フィリピンは東南アジアの観光ポイントとしては人気がありますが、なぜかクルーズではあまり寄港する機会が多くないんですね。

フィリピンではマニラ湾に近く以前アメリカ海軍基地があったスービックと、フィリピンの一大リゾートとして人気のボラカイ島、この2寄港地です。

シンガポール~ベトナム~香港~中国本土間の片道クルーズ

時間と予算のある方はこちらのコースをおすすめします。上記の寄港地を組み入れながら、各国の代表的な都市に寄港しながらシンガポール・タイ・ベトナムを通り中国へ向かいます。

船によっては途中観光する機会の少ないカンボジアやマレーシアのコタキナバルなどにも寄港するコースもあります。

また、中国では海南島・香港以外に、厦門ではヨーロッパの雰囲気と中国文化の融合した独特でエキゾチックな雰囲気が魅力的です。

まとめ

東南アジアは、私たち日本人にとっては歴史的にも文化的にもその影響は計り知れないものがあります。

私たちのルーツはアジアにあるわけですから、その起源はいたるところで見ることができます。

日常生活のちょっとしたことが実は東南アジアからの影響だった、といった事実を垣間見ながら旅行するのは本当に興味深いですね。

あまり深く考えなくても、欧米をクル-ズする時とは違った親近感を感じてしまいます。

シンガポール~中国間を2週間ほどかけてクルーズ(逆回りもあります)すると、やはりアジアはひとつの文化圏であり経済圏だなあと納得します。

時には日本発着でアジアを周遊するコースや、世界一周の途中で日本~シンガポール・香港間の区間クルーズも募集されます。こちらの方が手軽に参加できるかもわかりませんね。

余裕のある方は是非一度体験してください。

執筆者 | 小林進
クルーズ
マスター
1973年物流系の大手旅行社に入社、海外パッケージの販売促進を担当。5年後に団体営業の部署に移動、企業研修視察や国際交流基金・歌舞伎の海外公演など日本の伝統文化団体の海外交流ツアーなどを主に営業を行う。1985年からは、「友情の船」と題した小中学生のグアム・サイパンへのクルーズ研修企画をフジテレビおよびその系列の数局と10数年に渡り実施。またシニアの洋上研修なども実施しながら外国客船を利用した一般海外クルーズの企画販売にも取り組む。2001年にクルーズ専門旅行社に移り本格的に海外クルーズの企画販売を15年以上専任担当、2016年からクルーズバケーションで現在に至る。以前より若い世代のクルーズ体験や研修に注目し、大学や専門学校の研修クルーズに力を注いでいる。海外添乗・出張は200回以上、クルーズ添乗は国内外で約150回以上、世界中の客船やリバークルーズ船に乗船し訪れた寄港地は200都市以上におよぶ。(2008年日本外航客船協会クルーズマスター認定/認定番号0026)
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