アラブの世界と一言で言っても、じゃあどこだと言われると極東に住み日本人にはなかなか理解しがたい地域です。
アラビア語を話す人々?、イスラム教を信じる人々?、そういわれても近年の政治的な紛争のニュースを見て簡単に理解するのは無理のような気がします。
私はその方面の専門家ではありませんから、これからお話することはあくまでもクルーズと観光で訪問した体験からのお話ですから、もしかしたら正しくない内容があるかもしれませんが、その点ご容赦ください。
目次
アラビアンナイトに憧れて
「アラジンと魔法のランプ」を素材にしたディズニー作品の「アラジン」や、「千夜一夜物語アラビアンナイト」で何となくイメージが出来上っていますが、実際にあの世界は実在するのだろうかと、子供のころから一度は見てみたいと思っていました。
それが実現できたのはクルーズでトルコのイスタンブールを訪問した時でした。イスタンブールは近代化された都市とはいえやはりあの夢の世界を充分体験できましたね。
その後、アラビア半島やチュニジア、モロッコなどを訪問できましたが、これもすべてクルーズでした。ある意味スペインもアラビアンナイトの世界と言ってもあながち間違いとは言えないような気がしますね。
中世以前に数百年にわたってアラブ世界の支配下にあって、それがイスラム教とキリスト教の混在したスペイン文化の独自性を築いてきたのですからね。
こんな夢を気軽にかなえられるのも船旅のよいところでしょうか。飛行機と陸路でつないだら結構ハードな旅になるコースが、朝目覚めれば夢の世界なんですからね。
それも荷物を持っての移動もなく、まるで自宅から観光に出かけている気軽さですからね。
クルーズシーズン
中近東から北アフリカにかけては乾燥地帯が続き、南にはネフド砂漠やサハラ砂漠といった砂漠が広がっていますね。
そのため夏は暑く乾燥していますが秋から春にかけては地域によっては雨期もあり比較的過ごしやすい季節になります。
もうひとつ大事な要素があります。イスラム教ということは?、そうです。「ラマダン」です。イスラム教徒にとっては最も大切な宗教行事のひとつですね。この期間中、約一か月間は日中ほとんど食や水を取らないことになります。
もちろん海外からの旅行者向けのレストランは開いていますから大丈夫ですが、食事のとれない現地の人たちとのことを考えると何となく気になりますよね。
ラマダンとは、アラビア語で「9月」の意味。文字通りイスラム暦9月の一か月間、断食を行います。イスラム暦(またはヒジュラ暦)は、イスラム教の創始者・預言者であるムハンマドがメッカからメディナに脱出した西暦622年7月15日を起算点とした純太陰暦(太陽ではなく月の満ち欠けの周期をもとにする)で、毎年11日ずつ西暦とずれていくため、ラマダンの時期は西暦の上で考えると毎年11日ずつ早まっていきます。今年2021年は、4月12日の夕方に始まり、5月12日の夕方に終了しました。(ちなみに2022年は4月1日から4月30日になります)
トルコ・アラビア半島・エジプト
気候的には亜熱帯性乾燥気候で雨は少ないのですが、日本と異なり四季 がなく夏季(4~10月)と冬季(11~3月)の二つのシーズンに分かれます。
夏季は最高気温が30℃以上の日も多く40℃を超える日も出てくるぐらい蒸し暑いシーズンです。ということはやはり平均気温が20~30℃の冬季がいいと思います。あえてベストシーズンといえば、3~4月・11月でしょうか。
チュニジア・モロッコ
チュニジアからモロッコにかけての北アフリカは、地中海性気候の影響もあって四季があり、雨期(4~5月、10~11月)もあります。
と言っても日本の雨期に比べれば降水量は少なく過ごしやすい季節ですね。4~5月と10~11月がベストシーズンです。
いずれにしても、シーズンとラマダンの時期を考えてクルーズを選択しましょう。良いシーズンでもラマダンと重なる時は避けた方が賢明ですね。
クルーズが設定される時期はやはり秋から春にかけてのシーズンになりますね。
主な寄港地
トルコでは地中海・エーゲ海クルーズの寄港地として組み合わせるケースが多いですね。また、イスタンブールからボスポラス海峡を抜けて黒海をクルーズする場合もあります。
アラブの中ではやはりエジプトが中心でしょうか。地中海クルーズの寄港地としてはアレキサンドリアが選ばれたりしますが、内陸のルクソールやアスワンからのナイル河クルーズはぜひ皆さんに体験していただきたいリバークルーズです。
近年発展しているアラブ首長国連邦ですが、ドバイ発着コースではその周辺のカタールやオマーンなどにも寄港します。
エジプトから西に目を向けたチュニジアやモロッコも人気がありますね。いずれも地中海や大西洋に面している港町になります。
トルコ | イスタンブール、チャナッカレ、イズミール、クシャダス |
---|---|
エジプト | ポートサイド/カイロ、アレキサンドリア、スエズ |
ヨルダン | アカバ/ペトラ |
アラビア半島 | ドバイ、フジャイラ、アブダビ / UAE、マスカット / オマーン、ドーハ/カタール、バーレーン |
モロッコ | カサブランカ、ラバト、タンジール |
チュニジア | チュニス |
具体的なエリアとクルーズコース例
アドリア海・エーゲ海とトルコ
中世の城塞都市が点在するクラチアとイタリアに挟まれたアドリア海、紺碧の海に浮かぶエーゲ海のギリシア神話の島々、そして古代遺跡とオスマン帝国の栄華を極めるトルコ、こんな組み合わせはクルーズでなければ味わえません。
トルコではオスマン帝国の象徴でもあったイスタンブールが知られていますが、エーゲ海沿岸にはもっと古い時代、古代ギリシア・ローマ時代の遺跡がたくさん残っています。ギリシア神話の世界が目の前に広がり圧倒されます。
アドリア海では中世の都市国家、エーゲ海では古代ギリシアの遺跡が点在していますが、現在のトルコにも古代ギリシアの世界が広がっているんですよ。
皆さん一度は聞いたことのある「トロイの木馬」はトルコ北部のチャナッカレ近郊にあります。ブラッド・ピット主演の映画「トロイ」を思い出しますね。
南に下がったイズミールかクシャダシからは世界遺産エフェソスの遺跡があります。
この遺跡はエーゲ海に点在する古代遺跡の中でも1・2を争う規模で、その街並みと劇場跡、アルテミス神殿遺跡、そしてアレキサンドリア・ベルガモと並ぶ世界三大古代図書館のひとつセルシウス図書館は圧巻ですね。
まだ遺跡全体の半分も発掘されていないというお話にも驚きです。途中には聖母マリアが使徒ヨハネと晩年を過ごしたしたと言われる家もあり、小さな礼拝堂に入ると空気感が変わり神聖な気持ちになります。
イスタンブールは世界遺産となっている旧市街地区が有名ですが、実はクルーズならではの楽しみがあります。イスタンブール市内は金角湾と呼ばれる湾を挟んで旧市街と新市街に分かれています。
エーゲ海からマルマラ海を抜け市街地の中心にある埠頭に停泊しますが、到着するまでは絶対に船でなければ見ることのできない素晴らしい景色を堪能できます。
新市街ガラタ地区と旧市街にあるたくさんのモスクと宮殿の尖塔を両サイドに見ながら船は進みます。
トプカピ宮殿、アヤソフィア、ブルーモスクなどは、イスラムとキリスト教のせめぎ合い、そしてオスマンの栄華を象徴しています。
まさにボスポラス海峡をはさんでヨーロッパとアジアを結ぶ文明の十字路と呼ばれるのを納得できます。そうそうグランドバザールでのショッピングも異国情緒たっぷりですよ。
地中海・エーゲ海とエジプト
エジプトが組み込まれると、上記のトルコに比べてアドリア海の寄港が減り、いわゆる西地中海の寄港地が増えてきます。イタリア・フランス・スペインなどの地中海沿岸都市との組み合わせが増えてきます。
ヨーロッパ中世前の歴史は、イスラム世界のヨーロッパ進出とそれを防ごうとするキリスト教とのせめぎ合いの歴史でした。
有名な聖ヨハネ騎士団の最前線基地となったマルタ島バレッタの聖ヨハネ大聖堂の内部は圧巻です。こちらもお忘れなく!
10世紀前後から中世にかけてのヨーロッパと古代ギリシア、そしてお待ちかねの古代エジプトの組み合わせは地中海のハイライトコースですね。
地中海からエジプトに寄港する港はエジプト第2の街アレクサンドリアになります。
その名のとおり紀元前4世紀にアレクサンダー大王によって建設された街ですが、その後およそ1000年に渡りエジプトの首都として栄えてきました。
世界一の美女クレオパトラがカエサル(英語名シーザーといった方がいいでしょうか)を篭絡、女王としてこの街で住んでいたのは有名です。
でも1年も経たないうちにカエサルはローマに帰還しなければならず、いっしょに戻った後カエサルは暗殺されたのですね。
その後今度はアントニウスを誘惑してその保護を受けたそうです。それもアントニウスの正妻と離婚させて。それだけの美女だったのでしょうね。詳しくはエリザベス・テーラー主演の映画「クレオパトラ」でどうぞ!
でも意外なことに、アレキサンダー大王のお墓もクレオパトラのお墓もいまだに発見されていません。また、古代ローマの遺跡があまり残っていないのは、ローマ時代に続くその後のキリスト教やイスラム教が盛んになった時代にそれぞれの宗教的な背景の違いや都市開発などにより多くの遺跡が破壊されたり、再開発の材料として再利用されたり、埋め立てられたりされてしまったとのことです。
湾の入り口にあるファロス島の灯台は世界七不思議のひとつ、湾の海底からは多くの遺跡物が発見されていて、一般観光客でも海底に潜り見たり触れたりできるそうです。
あれ!カイロは?と思われる方もいらっしゃると思います。カイロは、地中海からは内陸に位置していて大型客船が寄港できる港がないんですね。
近い港はポートサイドかアレキサンドリアになります。200㎞以上、バスで約2時間半以上はかかります。せっかくエジプトに行くならカイロで最低2泊、できれば3~4泊はしたいですね。
考古学博物館は必見ですし、郊外のギザのピラミッドとスフィンクスは絶対見たいですから。
今までエジプトをテーマにした映画をたくさん見ました。十戒 / クレオパトラ / ハムナプトラ / ナイル殺人事件 / レイダース /スコーピオン・キング / タロス・ザ・マミー / アラビアのロレンス、等々。
どの映画を見ても古代エジプトの歴史が絡んできて本当に興味をそそられてきました。ぜひ連泊してゆっくり見学して映画の舞台と重ね合わせてみてください。
歴史・遺跡好きの方にはさらに忘れてはいけないコースがあります。ナイル河です。ナイル河なしではエジプトは語れませんよ!
このナイル河をゆったりと進むリバークルーズに乗船するとまさに古代エジプトにタイムスリップします。
残念ながらカイロから直接乗船できるリバークルーズ船は少なく(河の深さが一定せず通行が不安定のため)、大部分はルクソール~アスワン間の運航で、3~4泊になります。
ルクソール、カルナック、イシス、ホルス、コム・オンボなどの神殿や古代都市テーベ、エスナの水門など、アスワンまで息つく暇もありません。
船内でもエジプトの民族衣装ガラベーヤを着て楽しむガラベーヤ・パーティもあってファラオや女王様気分が味わえます。
ラムセス2世のアブ・シンベル神殿、これも歴史で習いましたね。アスワンからさらに南に広がるナセル湖西岸にありますが、ダムの建設に伴い水没の危機があったため60mほど上方へ移築されています。
4年ほどかけて正確に分割され再建造されたというまさに奇跡的な偉業でした。でもオリジナルを建造した古代人の方がもっとすごかったですね
地中海からスエズ運河
年に何回か世界一周のクルーズが運航されています。その中でヨーロッパからアジアに抜けるにはスエズ運河を通航するのが最短になります。その際に必ず寄港するのがポートサイドとスエズの街です。
全長200㎞近いですが、パナマ運河と違って船幅が77m以下であれば通行可能、そして高低差があまりないため閘門もないということで、現代の大型客船も自由に通航できるわけです。約11年かけての人類の大偉業ですね。
世界一周クルーズの区間コースとして地中海のバルセロナやジェノバなどからいくつかの街に寄港してスエズ運河を通航、抜けるとスエズ湾に入り紅海に向かいます。
途中シナイ半島の東に伸びるアカバ湾の奥には、ヨルダンのアカバに到着します。ここから断崖絶壁の岩山に囲まれた世界遺産ペトラ遺跡が観光できます。
紅海を抜けるとインド洋に入り、(コースによってはドバイ経由で)インドに向かうことになります。
地中海・イベリア半島・カナリア諸島とモロッコ
すでにお話したヨーロッパクルーズの中で、イベリア半島を周遊するコースにモロッコが組み込まれる場合も多いですね。
大西洋から地中海に入るにはジブラルタル海峡を通ります。このジブラルタル海峡によってヨーロッパ大陸とアフリカ大陸は分けられていますが、その距離はなんと最短で約13㎞、天気が良ければお互いの大陸が見通せる距離です。
イギリスの海外自治領であるジブラルタル(場所的にはスペイン領アンダルシア)のザ・ロックと呼ばれる巨大な岩山から見るアフリカ大陸/モロッコは、何とも形容しがたい感動を与えてくれます。
クルーズでモロッコに寄港するのは、首都ラバト、モロッコ王国最大の街カサブランカ、ジブラルタル海峡に近い北のダンジール、以上の3港です。
カサブランカはあの映画であまりにも有名になっていますので、かえって説明しづらいですね。
ハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマン、この二人が主演する恋愛映画の舞台になっていますが、第二次世界大戦中に公開されていてアカデミー賞を受賞しています。
戦後生まれの私が初めて見たのは中学生の時、もちろんまだカラーのないモノクロ映画ですが、子供なりに大人の恋とはこんなんだあ~なんて感激したものです。
二人が偶然再会するシーンの「カフェ・アメリカン」がまだ現役でオープンしていて、私も当然立ち寄ってコーヒーを飲みました。ビール一杯ではありませんので念のため。
話がそれましたが、カサブランカ市内は近代都市と言ってもいいのですが、旧市街メディナに入ると一変します。またハッサン2世モスクも200mの高さを誇る世界最大級のモスクと、その内部の美しい装飾は必見です。
首都ラバトは、カサブランカやマラケシュの陰に隠れて地味な存在かもしれませんが、実は「近代の首都と歴史都市の側面を併せ持つ街」として世界遺産に登録されています。
「ウマイヤのカスバ」と呼ばれる要塞を兼ねた集落やムハンマド5世の霊廟、そして迷宮のような旧市街がアラビアの世界を演出します。
最後のタンジールはジブラルタルに近く、フェリーや航空機を利用したスペイン・フランスなどからの観光客が多いリゾート地です。
スペインの影響を受けて白い家並みが美しいのが特徴ですが、一歩旧市街に入ると迷路のように坂道が広がっています。ショッピングも楽しい時間が過ごせます。
西地中海とチュニジア
東地中海と言えば、イタリア半島の東側からジブラルタル海峡までのエリアになります。
ちなみに、西側のアドリア海からエーゲ海、そしてクレタ海からエジプト・中東にかけては西地中海と言います。
下記のシチリア海峡がその境界線と言われることが多いですが、一般的に地中海クルーズと言えば、この西地中海7泊クルーズを指す場合が多いです。
コースによってはチュニスに寄港する場合もそれなりにあります。チュニジアはアルジェリアとリビアに挟まれた小さな国ですが、シチリア海峡を挟みイタリアのシチリア島とは約145㎞と近く、フェリーで簡単に往復できます。
首都チュニスは、北アフリカではカイロとカサブランカに注ぐ都市でありながら、メディナと呼ばれる世界遺産の旧市街では異国情緒たっぷりの世界が広がります。
新市街にはフランス門から入ります。そうなんですね、19世紀からはフランスの植民地だったんです。その影響でしょうか、サン・ヴァンサン・ド・ポール大聖堂というカトリック教会が建てられています。
郊外にはカルタゴの遺跡があります。紀元前8世紀ごろから地中海を席巻したフェニキア人が建国した都の遺跡です。
7世紀末のカルタゴの戦いでイスラム勢力によって陥落し、チュニスが建設された以後は完全に放棄されたようですね。
地中海に面した遺跡に立ち、遠い古代に思いをはせると不思議な力が加わってくるような錯覚を感じます。
紀元前3世紀に、猛将ハンニバルがローマに攻め入ろうとした「アルプス越え」を考えると足が震えてきたことを思い出します。それにしてもフェニキアの人々は何と不思議な民族なのか、いつも考えてしまいますね。
ドバイ発着アラビア半島周遊
近年世界中の注目を集めたドバイ、まさに砂漠の真ん中に突如出現した近代都市と言っても言い過ぎではないような気がします。アラブ首長国連邦の一首長国の首都ですが、アラビア半島の中心といってもいいでしょう。
連邦国としてイギリスからの独立は1971年ですから建国してまだ50年、本来は昨年50周年を記念してドバイ万博が開催される予定でしたが新型コロナの影響で1年延期され、今年の10月1日から半年間開催される予定です。
このドバイから周辺のフジャイラとアブダビ、隣国オマーンのマスカット、カタールのドーハ、バーレーンなどを7泊で周遊します。
クルーズ乗船前後のドバイでは、世界のスーパーリゾートの名に恥じないリゾートライフが楽しめます。
ホテル、ショッピング、アクティビティ、グルメ、、、とにかくすべてが桁違いのパラダイスを形成しているんですよ。街全体がエンタテイメント一色のテーマパークです。
アラビアの世界でスキーやスケートを楽しむなんて考えられませんし、水族館では全面ガラス張りの巨大水槽、321mもの超高層ホテルや7つ星とも言われる超高級ホテル(ちなみに一般人は宿泊客の許可がないと入れません)。
でもクリークの両岸にはアラビアの旧市街が広がり、水上タクシーでのんびり移動するのも楽しい体験です。
客船が停泊する埠頭の近くには、あの「クイーン・エリザベス2世号/QE2」が今でも停泊しているんですよ。初めてドバイでその姿を見た時には涙が止まりませんでした。
なぜかというと、2008年3月に最後の世界一周航海でシンガポールから大阪を経由、太平洋を横断してハワイ経由ロサンゼルスまで3週間の船旅を経験したからです。
その後6月には北欧フィヨルドクルーズにも乗船し、これがQE2最後の乗船航海になりました。
思い入れはさておき、UAEアラブ首長国連邦では他の首長国に寄港します。
UAEの首都アブダビは、石油資金が豊富でドバイほどの観光地化を目指していませんでしたが、近年はスポーツ振興に力を入れ、ザイードスタジアムでは日本代表チームもたびたび活躍したとのことです。
郊外の白亜のモスク・ザイードモスクでは女性はアッバーヤと呼ばれる黒い民族衣装を着用することを義務付けられます。妙に艶めかしい雰囲気で日本の男性はみな一瞬心を奪われてしまいますね。
フジャイラはあまりなじみのない街ですが、UAEで唯一砂漠のない首長国です。近郊の街パディヤにあるUAEでは最古のアルビディヤ・モスクとフジャイラ博物館が見どころです。
日本ではまずお目にかかれないナツメヤシのチョコレートはおいしいというか、なんとも不思議な味がしました。
オマーンはUAE東側でアラビア半島の最南端にあり、伝説の船乗りシンドバッドが生まれた国といった方がわかりやすいかもしてません。
首都マスカットでは、オマーン最大のスルタン・カブース・グランドモスクがすばらしいですね。
イスラムの5つの教え(信仰、礼拝、喜捨、断食、巡礼)を象徴する50mの先頭と大理石で造られた建物は、内部の装飾を見ても最新のモスク(2001年建造)を表現していました。
もちろんオールド・マスカット旧市街でもショッピングが楽しめます。ここで飲めるイスラム・コーヒーをぜひ味見してください。独特の香りがしますよ。
アラビア湾に浮かぶ小さな島国バーレーンは、5000年に及ぶ歴史を持ちながら近代国家として独立したのは1971年です。
中東での石油発掘を最初に行った国ですが、石油が枯渇するのも早いと言われていて、イスラム国家でありながら中東では比較的西側寄りの政策を取っています。
その為か、女性の社会進出が他の湾岸食に比べて高いそうです。アルコールが唯一許されているのもうれしい?ですね。
バーレーン博物館は小さいですが日本人にとっては興味津々のテーマが多いです。バーレーン・フォート、つまり砦ですが、ポルトガル統治時代の住居跡が残っていますが、遠方に見える高層ビル群とのアンバランスが印象的です。
もうひとつ、400頭ものラクダを飼っているキャラメル・ファーム牧場で見るラクダの大群にはびっくりですね。
最後はあのサッカー「ドーハの悲劇」の舞台となったカタールです。あの試合を深夜に家族全員で応援していましたが、試合後の中田選手の様子が今でも目に浮かびます。
現在では日本からカタール航空の直行便が飛び、日本人にもそれなりに知られていますが、そのきっかけはあの悲劇だったのかもしれませんね。
首都ドーハには白いモスクのようなイスラム美術館やステート・グランド・モスクが見どころですが、スーク・ワキーフと呼ばれる市場に行くとこれぞアラブというさまざまな商品が売られていてあらためてアラビアンナイトの世界を思い起こしますね。
郊外にはカタール唯一の世界遺産であるアル・ズバラ遺跡があり、ペルシャ湾沿岸諸国発祥の地として有名です。変わったところでは砂漠を4WDで爆走するデザートサファリ、ラクダのレースも体験できます。
外国人しか住めない人工島ザ・パールは本物のセレブの島、観光客は自由に出入りでき、アラブにいながらヨーロッパ気分が味わえる街として大人気です。
まとめ
中近東と聞くとどうしてもイスラエル・イラク問題やシリアなどの民族紛争が頭に浮かびますが、イスラム諸国すべてが危険地域ではありません。特にクルーズ船が寄港する街は船会社が充分安全性を検討した上で実施しています。
一部上記の国々はしばらく様子を見た方がいいとは思いますが、アラビア半島、特にドバイ発着クルーズは逆に安全な航路として認識されています。また、地中海沿岸の北アフリカ諸国も同様です。
クルーズ船は乗客以外は出入りができないばかりか乗下船のチェックは非常に厳しく行っていますので、ある意味では一般のホテル宿泊と比べてセキュリティの密度は格段に上がっていると思います。
最近はドバイで語学研修、特に英語を勉強する為に留学する学生さんが多いと聞きます。治安の良い街としての評価が上がっている証拠ですね。
子供のころから親しんできたアラビアンナイトの世界は、実際に行ってみると想像以上に不思議な世界が広がっています。
欧米やアジア諸国とは異なるエキゾチックな世界を体験すると、新しい世界観が生まれる可能性が大きいと思います。ぜひ皆さんもクルーズで!