私たちが日本を、そして世界を旅する目的はさまざまです。
その土地の歴史や文化を求める旅、人と人とのふれあいを求める旅、美食の旅、そして日常では見ることのできない大自然を体験する旅、その目的は限りなく広く、そしてたくさんあります。
現代は、航空機を利用すれば24時間以内にそれこそ行けないところはないとも言える時代で、世界中に点在するあらゆる大自然を陸上から満喫することは不可能な時代ではなくなっています。
そんな中でもクルーズという旅は、人類の歴史の中では比較的新しい旅の形態です。
もちろん古代から人類は船を使い世界中を移動してきましたが、いわゆるレジャーとして船を利用し始めてからまだ200年も経っていません。
世界にはさまざまなクルーズエリアがありますが、陸上からは日数や高額な費用がかかるなど大変な苦労が必要な大自然でも、クルーズでは比較的楽に、そして海からしか眺めることができない絶景もまだまだたくさんあります。
そんな世界の絶景をエリア別にご紹介します。なお、今回は歴史的な文化遺産を離れ、あくまで大自然というテーマをメインにしたいと思います。
目次
シーズンとクルーズエリア
方面 | エリア | シーズン |
---|---|---|
ヨーロッパ | ノルウェー沿岸、アイスランド、グリーンランド、アドリア海 | 5月~9月 |
北米 |
アラスカ、カナダ、北極海、 ハワイ |
5月~9月 通年 |
中米 | カリブ海(5月~11月はハリケーンのシーズン) | 通年 |
南米 | パタゴニア、イグアスの滝、ナスカ、マチュピチュ、アマゾン河 | 12月~3月 |
南極 | 南極半島 | 12月~3月 |
ポリネシア・太平洋 |
タヒチ、ニューカレドニア、フィジー、マルケサス諸島 グアム・サイパン・パラオ ガラパゴス島、イースター島 |
通年 |
オーストラリア・ニュージーランド |
グレートバリアリーフ、ミルウォードサウンド |
12月~3月 |
具体的なエリアのクルーズコース例
ヨーロッパ
ノルウェー沿岸のフィヨルド群
ノルウェー海に面したノルウェーの北海沿岸は、ベルゲンから北極圏を超えヨーロッパ最北の地ノールカップまで約2600㎞にも及ぶフィヨルドと絶景に恵まれています。
世界最北の定期航路である「湾岸急行船」からは、30以上の美しい港町や島々の灯台、そそり立つフィヨルドなど素晴らしい風景と、海や森、海鳥の音と風などを体感することができます。
この定期船「フッティールーテン」は「世界で最も美しい船旅」とも言われ、夏は白夜、冬は夜空を舞うオーロラを船上からご覧になれます。
また、ノルウェーの内陸の山岳地帯から海に流れ込む氷河でできたたくさんのフィヨルドが点在しており、ガイランゲル、ソグネ、ハダンゲル、ノール、この4大フィヨルドは世界でも類を見ない規模を誇っています。
フィヨルドの中をゆったりと客船でクルーズすれば、まさに地球の歴史の中を動いているようです。
アイスランド・グリーンランド
英国やアイルランドからさらに北西に行くと「火山と温泉の島」と呼ばれるアイスランド(共和国)があります。
大西洋に浮かぶ火山島として多くの火山と間欠泉・温泉が湧き出ており、世界最大の露天風呂「ブルーラグーン」は人気の観光スポットです。
メキシコ湾から流れる暖流・北大西洋海流の影響で思ったほど寒くはなく、観光客だけではなくローカルの人々も温泉を楽しみながら地球の鼓動を感じています。
アイスランドからさらに西北に行くと世界最大の島グリーンランド(デンマーク領)に着きます。位置的にはかなりカナダに近く北は北極海に面しています。
島の80%以上が氷で覆われ、海岸線には深く刻まれたフィヨルドが続きます。
普段なかなか見る機会の少ないエリアですが、巨大な氷山とミッドナイトサンが作りだす幻想的な世界はまるでおとぎ話のようでもあり、大規模な氷河、クジラやシロクマの生息地など厳しくも美しい自然を間近に感じます。
独特のイヌイット文化や暮らしぶりも興味が出ます。
北米
アラスカ
アラスカクルーズと一般的に言う場合、カナダ西部と隣接する太平洋沿岸地域がアラスカクルーズのエリアになります。
バンクーバーからアラスカ東南部に位置するスキャグェイまで、氷河が織りなす約1600kmに及ぶ複雑な水路をインサイド・パッセージと呼びます。
氷河によって削り取られた沿岸部は、世界屈指の美しさを誇るフィヨルドの海岸線が続き、その景観の美しさからクルーズの寄港地として人気があります。
ジュノー、シトカ、ケチカン、スキャグウェイ等の街は、5~9月のシーズンには多くの観光客で賑わいます。
最大のハイライトは16もの氷河が流れ込む絶景が見られる世界遺産グレーシャーベイと1km以上にわたって広がる広大な氷河が海に落ち込むハバード氷河です。
また、ブラウンベアやハクトウワシ、ムース、ラッコなどの動物たちの宝庫でもあり、春から夏にかけてはクジラやシャチのウェールウォッチング、秋にはたくさんの鮭の遡上も見ることができます。
19世紀末ユーコン河流域で発見された金によるゴールドラッシュの時代には、スキャグウェイとホワイトホース(カナダ)を結ぶホワイト・パス&ユーコン鉄道が金の輸送に活躍されました。
現在は北米一といわれる傾斜の路線を利用した観光列車として人気が高く、険しい山道沿いを走り断崖にへばりつくように進む列車でスリルを楽しみながらすばらしい景観を体感できます。
アラスカの開拓時代は1867年まで帝政ロシアの統治下にあったため、ロシアの時代の首都シトカにはロシア時代を思わせるロシア正教の教会や雰囲気が往時を偲ばせます。
さらにクリンキットやハイダなどのネイティブアメリカンの文化が息づき、インディアンの村も人気のスポットです。
インサイドパッセージには、歴史文化・景観・野生動物の三拍子がそろっています。客室のバルコニーやデッキから直近に氷河がご覧いただける幸せを満喫できます。
カナダ東部
日本でも秋の紅葉は大人気ですが、カナダでも9月末~10月上旬になると「メープル街道」と呼ばれるエリアで紅葉が楽しめます。
オンタリオ州からケベック州にまたがる約800kmに及ぶ東部落葉樹林帯のことで、サトウカエデ(シュガーメープル)の森が茂り、ヨーロッパ人による開拓のルートでもありました。
紅葉といえば特にロンシャン高原が有名ですが、クルーズの寄港地としても人気のケベックやモントリオールから1泊でのツアーが組めます。
またケベック周辺にも紅葉スポットがたくさんあり、日帰りで紅葉を楽しむことができます。
東部カナダの大定番であり紅葉の期間は短いのですが、紅く染まった森の中の湖で静かにたたずんでいると、日常の喧騒がまるでウソのように感じられまさに別世界です。
また紅葉クルーズには、「赤毛のアン」の島として日本人には大人気のプリンス・エドワード島や、タイタニック号の救出基地として活動したハリファックスの大西洋海洋博物館には、引き上げられた遺留品の展示や船室の模型もあります。
亡くなられた方の墓地もあり、タイタニックの事件に興味のある方には必見の街です。
東部カナダのクルーズの場合、ニューヨークやボストンが発着地になることが多いのですが、その時に寄港する街としてアメリカのニューイングランド地方(メイン州)がとりあげられます。
クルーズ自体は紅葉シーズンだけではなく、春から秋にかけてシリーズで設定されていますが、ボストンの他ポーツマス、バーハーバーといった港町は、アメリカ開拓時代の名残の残るチャーミングな街並みが魅力です。
ハワイ
いまさらハワイと思われるかもわかりませんが、通常のハワイ旅行の場合はいわゆるハワイ4島を航空機を利用して巡り、バスで移動しながら観光します。
ところがクルーズの場合は、皆さんがお休みになっている間に移動し次の島(寄港地)に朝到着しますので、一日めいっぱい観光が楽しめます。
また、実は陸上の観光では体験できないすばらしいハワイの姿をご覧いただくことができます。
今でも噴煙を上げているハワイ島キラウエア火山の周辺を夜クルージングすると、真っ赤に燃えた溶岩を噴出している様子がご覧になれます。
またカウアイ島にある断崖絶壁のナ・パリ・コーストは空からしいまさらか見ることができませんが、クルージングでは船上からこの絶景をのんびりと楽しむことができます。
中米
カリブ海
クルーズの定番というとかならず地中海、そしてカリブ海という言葉がでてきます。
実際に両者とも船ならではの体験ができる本当にクルーズの醍醐味が味わえるエリアですが、カリブ海というと例えばフィヨルドや南極といった圧倒的な景観で感動させるポイントではありません。
しかしアメリカの人々にとっては気軽に楽しめるクルーズのひとつですが、私たち日本人にとってはカリブ海も大自然の織りなす絶景のひとつといっていいと思います。
歴史的には15世紀末コロンブスの大西洋航海によって知られることになりました。(ちなみにバハマ諸島の小さな島に上陸したのですが、彼らはインドについたと勘違いし、以来西インド諸島という名前で呼ばれるようになりました。)
それ以後スペイン、オランダ、イギリスやフランスといったヨーロッパ諸国が競って植民地として多くの奴隷をアフリカから移住させて開拓してきました。
その痕跡がカリブ海の各地に今も残りカリブの海賊たちが活躍した時代を思い起こしています。
しかしなんといってもカリビアン・ブルーと呼ばれる真っ青で美しい海と豊かな自然が残る島々が私たちの心を魅了します。
そしてヨーロッパとアフリカのミックスされた独特のカルチャーがコロニアルな風景を造り上げています。
カリブ海のクルーズは年間を通して運行されていますが、5~9月にかけてはハリケーンのシーズンに入ります。
もちろんいつもハリケーンに遭遇することではありませんが、日本の台風シーズンと同じと思って注意する必要があります。
クルーズでは危険なことはありませんが、寄港地の変更や抜港などの処置がとられる場合もあります。
一口にカリブ海と言いますが、クルーズの場合大きく分けると①バハマ諸島、②西カリブ海、③東カリブ海、④南カリブ海、以上4つのエリアに分かれます。
バハマ諸島
コロンブスが最初に上陸した小さな島がバハマ諸島であり、フロリダ半島からはなんと東に約88㎞という近い距離にあるためアメリカ人が気軽に行けるリゾートとして人気があります。
723ある島のうち95%は無人島ですが、その中でも小さなニュー・プロビデンス島にある首都ナッソーには数千人乗りの大型客船が港に並び、欧米のセレブの別荘やリゾート施設が立ち並びます。
西カリブ海
フロリダ半島の南に広がり東はジャマイカ、西はメキシコまでの広大な海域がふくまれます。日本人には一番人気のエリアです。その理由はそれぞれの寄港地の異なる魅力がうまく組み合わされているところにあります。
ジャマイカの島の中央には2000mを超えるブルー・マウンテンがありコーヒーの産地として知られていますが、この山から流れ出る水が海の注ぐダンズリバーでは滝のぼりが楽しめ、北の海岸線には白い砂浜が美しい世界でも指折りのリゾート地が並んでいます。
ジャマイカの北西にはケイマン諸島(イギリス領)があります。地図で見ても小さな点にしか見えないほどですが、周囲を珊瑚礁に囲まれた世界中のダイバー憧れのダイビングスポットです。
またミドリガメやアカエイなどの海洋生物たちを見ることもできます。中心のグランド・ケイマンにあるジョージタウンは、買物好きな方にとっては免税の島として知られてもいます。
西の端メキシコ・ユカタン半島がカリブ海に面し半島の脇にあるコズメル島にも大型客船がたくさん寄港します。この島の周辺も美しく澄んだ海で楽しむダイビングスポットがたくさんありますが、ユカタン半島といえば古代マヤ文明が栄えた地域としても有名です。
その中でもカリブ海に面したマヤの都市トゥルムの遺跡は謎のマヤ文明の痕跡とあまりに美しいカリブの海のコントラストが心を打ちます。
ジャマイカ・グランドケイマン・コズメル、この3つの寄港地が西カリブ海クルーズの中心となりますが、せっかくのカリブ海でビーチリゾートを楽しまない手はありません。
ということで、たいていの船会社はラバディ/ハイチやプリンセス・ケイズ/バハマ、ハーフムーン・ケイ/バハマといった独自のブライベートビーチを開発して一日カリブの海を楽しめるよう配慮しています。
カリブ海クルーズは圧倒的にフロリダ発着が多いが、日本からの直行便がなく必ず前後泊が必要となり費用的には不利な条件です。
今秋全日空のヒューストン線が就航することになり今後ヒューストン発着の西カリブ海クルーズが増えるのではないかと思われます。
東カリブ海
キューバ、ドミニカ共和国の東側から南米にかけては小さな島が点在しています。
プエルトリコからヴァージン諸島(イギリス領・アメリカ領)、アンギラ、マルティーニクあたりまでは東カリブ海と呼ばれ、現在もイギリス・フランス・オランダ・アメリカの統治領となっている島も多くあります。
いずれも熱帯性の気候区分に属していますが、貿易風の影響で意外にさわやかな気候を持ち、珊瑚礁でできた平坦な島があったり、3000m近い山の緑豊かな島もあり手つかずの自然と海に触れあえます。
また、ヨーロッパ諸国の植民地であった時代の統治者の館や海賊から島を守る要塞も数多く残されており、多くの島の景観に彩りを添えています。
南カリブ海
カリブ海をさらに南に進と南米に突き当たりますが、その周辺にも魅力的な島々が多くあります。アルバ、キュラソー、ボネールといったオランダ領アンティル諸島とバルバドスが中心になります。
ヨーロッパからの観光客が多く高層ホテルと美しいビーチ、マリンスポーツで賑わうアルバ、手つかずの自然と白砂のビーチが静かなオランダ風の街並みで、落ち着いた雰囲気のキュラソーは南カリブ海の代表的な寄港地です。
カリブ海に浮かぶ島々の中では最も東に位置するバルバドス。リトル・イングランドとも呼ばれるほどイギリスの歴史を模した街並みとビーチ沿いに立ち並ぶ高級リゾートホテル、東西で異なる顔を持つ海岸線、サトウキビ畑の広がる平原と熱帯植物の山、こういったさまざまな風景が絡み合った独特の雰囲気が魅力となっています。
ニューヨークの東の大西洋に浮かぶ島バミューダへのクルーズは、気軽に行けるクルーズとして人気があります。
以前は魔のトライアングル地帯として名をはせた島ですが、現実にはタヒチのような温暖な気候でコロニアル調の街並みが異国情緒を誘う島です。
今後大注目のキューバ
カリブ海最大の島で「カリブ海の真珠」と呼ばれ、あの作家ヘミングウェイが愛したキューバ。
キューバ危機以来残念ながらアメリカとの国交がないためアメリカの船会社はクルーズを設定することができません。
昨今のアメリカとキューバの国交回復に向けての交渉で、近い将来クルーズによる旅行が可能になるのではと予想しています。
現在はカナダやメキシコ経由での入国が可能ですが、インフラの整わない現地ではホテルやバスの不足が問題になっています。
しかしアメリカの資本が導入されれば改善されることも予想され、アメリカの大型客船がクルーズを行うのも真近ではないでしょうか。注目です。
オーストラリア・ニュージーランド
オーストラリア
オーストラリアの絶景といえば、エアーズロックとグレートバリアリーフ。クルーズではグレートバリアリーフを訪れるコースがあります。
世界最大のサンゴ礁で世界遺産の海としてあまりに有名ですが、エメラルド・グリーンに輝く全長2000kmにもおよぶ広大なサンゴ礁の海は、「海の熱帯雨林」とも呼ばれ、多彩な海洋生物の宝庫ともなっています。
この海をクルージングしながらハミルトン島や世界一美しいともいわれるウィットサンデー島を訪れる、またケアーンズからは色とりどりのサンゴに取り囲まれたグリーン島にボートで周遊することができます。
ニュージーランド
世界には多くのフィヨルドが存在していますが、ニュージーランドの南島にはアラスカやノルウェーのフィヨルドにひけをとらないすばらしいフィヨルドがあります。
通常どの船でも南島のタスマン海に面したフィヨルド国立公園一帯の3つの大きなフィヨルドをクルージングします。
中でも世界遺産となっているミルフォードサウンドの奥深く入り、氷河によって侵食され容易に人を寄せ付けない険しいフィヨルドは素晴らしいものがあります。
ちなみにこのニュージーランドのクルーズでは、フィヨルドだけではなく北島・南島をほぼ一周する形でニュージーランドを満喫できるコース設定が多いのが特徴です。
南太平洋・ポリネシア
タヒチ・マルケサス諸島
数々の映画でおなじみのフレンチポリネシアのタヒチですが、クルーズのエリアとしても人気があります。
日本ではハネムーナーのメッカとしても知られていますが、ほとんどがタヒチ本島とモーレア島・ボラボラ島に限られるようです。
クルーズではヌメア発着でさらにファヒネ島・タハア島などを組み入れたスモールシップによる7泊クルーをおすすめします。
ヨットタイプの小型船でタヒチの島々を巡ってみると、まるで映画の主人公になったような、そんな気持ちになります。
フィジー・ニューカレドニア
南太平洋に浮かび300以上の島々からなるフィジー(イギリス連邦)は、常夏の島国でありマリンブルーの澄みきった海と抜けるような青空が心地よい楽園の島として、欧米セレブのリゾート・アイランドになっています。
また、森村桂の本「天国に一番近い島」で日本人にはよく名前が知られるニューカレドニアですが、オーストラリア大陸の東約1200kmに位置し、現在はフランスの海外領土となっています。
その中で最大の島がグランドテール島で、豊かな自然環境を生かした観光業が主な産業となっています。
海岸部の美しいビーチのほか、周辺のイルデパン島などにはフランスだけではなくオーストラリア・アメリカ・日本の観光客がたくさん訪れています。
グアム・サイパン・パラオ
いまさらグアム・サイパンではないかもわかりませんが、船で入港するグアム・サイパンは一味違います。
太平洋戦争の激戦地となった海域ですが、もともと美しい太平洋の島々であったことを思い出しながら航海してみてください。
日本との往復は片道4日もかかりますが、途中には鳥島や孀婦岩などの見どころもあり太平洋をのんびり航海するのもクルージングの醍醐味を味わえます。
グアムの方が都会化されていますが、街から少し離れると実は隠れた静かで美しいビーチがたくさんあります。
グアムもサイパンも日本統治時代があり多くの日本人が移住していました。太平洋戦争中の激戦地で、戦争の爪痕がたくさん残っています。
グアムとサイパンの間にはロタ島とテニアン島があります。ロタ島はダイビングの島として有名です。
テニアン島には太平洋戦争中のアメリカ軍の滑走路が残っていて、ここから広島の原爆投下を行ったB-29「イノラ・ゲイ号」が出発したんですね。
いずれも日本からは4日間ほどかかりますが、年末年始には日本船がグアム・サイパンクルーズを実施しています。あとは外国船が世界一周クルーズの途中で、オーストラリアから日本に向かう途中で寄港します。
パラオ諸島も忘れてはいけないですね。グアムからさらに南下してニューギニアに近くなります。
200以上の島があり、その中でもロックアイランド群は世界遺産になっている有名なセブンティアイランドでの絶景は言語を絶する風景です。
クルーズ客船が定期的に寄港することはありませんが、日本船の南太平洋周遊クルーズで時折寄港する場合があります。
南米
南米というと、リオのカーニバルやアマゾン河といった言葉が思い浮かびます。
日本からは航空機利用でアメリカやヨーロッパ経由でほぼまる一日かかり、行こうと腰を上げることを躊躇する方も多いと思います。実際に日本から見れば地球の反対側にあるのですからもっともな話です。
しかし逆に地球の反対側には日本では想像も絶する絶景があるということにもなります。
大西洋に面したブラジルからアルゼンチンにかけて、また太平洋側ではペルーからチリにかけて、地球誕生の物語が語られるほどの大自然が残されています。
クルーズではリオ・デ・ジャネイロやブエノススアイレスから出発して南米大陸南端ウシュアイアを経由してバルパライソ/サンチアゴまで周遊するクルーズが人気です。
他にもフロリダ半島から中米を経由してリオまでといったコースやアメリカ西海岸を起点にコスタリカやエクアドルを経由してペルーまで行くコースもあります。
また、リバークルーズ船やスモールシップを利用してアマゾン河を上るクルーズも欧米では人気があります。
ブラジル~アルゼンチン
クルーズの起点としてリオ・デ・ジャネイロが利用されるコースがたくさんあります。
もちろん「リオのカーニバル」を目玉としたクルーズが例年2月に催行されますが、なんといっても高くてホテルの確保が難しいこの時期にゆったりした船内からカーニバルを鑑賞できるメリットは替えがたいものがあります。
また乗船前後には、「巨大な水」を意味する世界三大滝のひとつ「イグアスの滝」の観光も可能です。
アルゼンチン~チリ
ブエノスアイレスから南米最南端のウシュアイアを抜けチリの太平洋沿岸いわゆるパタゴニアには、入り組んだ島々と断崖絶壁が織りなす巨大なフィヨルドが続きます。
トレモリノス氷河に代表される数々の氷河にはノルウェーやアラスカの氷河とは違った男性的な威容に圧倒されます。
ペルー
ペルーの首都リマからは二つの絶景遺跡がご覧いただけます。世界の謎としていまだに解明されていない「ナスカの地上絵」と、世界の絶景として人気の天空の古代遺跡「マチュピチュ」です。
いずれも船上からご覧いただくわけではありませんが、寄港地と寄港地の間を陸路で移動するオプショナルツアーが設定される船会社もあります。
ガラパゴス諸島・イースター島
南米大陸から西へ約3800km離れた南太平洋上に浮かぶ世界遺産イースター島。
4世紀ごろに渡来した島の先住民によって制作されたといわれる巨石像が400体ほど残されている謎の残る島ですが、世界一周を行っている船が時折寄港しています。
また、エクアドル本土から西へ960kmほど離れた太平洋上に浮かび、隔絶された環境の中でガラパゴスイグアナやガラパゴスゾウガメなど固有動植物が独自の生態系を保ち続けているガラパゴス諸島ですが、エクアドルのキトから航空機が飛んでおり(約3時間)、バルトラ島から島々を巡る5~7泊程度の客船クルーズが設定されています。
南極
近年温暖化の影響で氷が融け始めていることが問題になっている南極ですが、クルーズでは大きく分けて二つのパターンがあります。
ひとつは船に装備されているゾデアックボートを利用して南極大陸(南極半島)に上陸、直近にペンギンやアザラシなどの動物を見ることができるクルーズ。これは比較的小さなスモールシップや探検船を利用します。
そしてもうひとつは10万トンクラスの大型客船で南極海をクルージングしてゆったりと南極を見ていただくクルーズです。これは上陸はしませんが、地中海やカリブ海と同じクルーズを楽しみながら南極をご覧いただくのです。
どちらがいいのかは皆さまの体調や目的によって判断すべきですが、南極条約によって制限されている南極観光は今後狭められていく可能性があります。
いすれも起点は南米最南端にあるチリのウシュアイアになりますが、南極半島までは比較的海が荒れて船が揺れやすいドレーク海峡を往復しますので、それなりの心構えが必要です。