外国客船による横浜や神戸を起点とした日本発着クルーズ。一番初めに行われたのは2010年ロイヤル・カリビアン・クルーズのレジェンド・オブ・ザ・シーズによる横浜発着クルーズだと記憶しています。
その数年後には、プリンセス・クルーズやコスタクルーズを始め多くのクルーズ会社により運行されていいます。
残念ながら昨年からは運休を余儀なくされていますが2022年にはまた多くの外国客船を日本で見ることができる事になるように期待しつつ書き進めたいと思います。
九份散策で立ち寄りたい「阿妹茶酒館」
日本発着クルーズの中でも人気の台湾クルーズ。その寄港地の一つ基隆。台北観光への玄関口とされていますが勿論地元や近隣にも興味深いところは沢山あります。
台湾人気の観光地九份は港から車で30分足らず。急な階段と細い道の両脇に広がる台湾ならではの飲食店やお土産物屋さんが広がり散策しているだけでワクワクしますね。
その中に「千と千尋の神隠し」の舞台として使われた事で有名な「阿妹茶酒館」があります。
散策途中にぜひ立ち寄ってみてください。とってもおいしいお茶が楽しめます。
席に座るとほとんどの人が注文していますが温かいものと冷たいものどちらが良いか聞かれます。使用しているお茶が異なるそうです。
お茶が運ばれてくる前にテーブルには次々と小菓子が運ばれてきます。このお菓子を口に運びながらゆっくりとお茶を楽しむのが台湾流。
どれもお茶に負けない主役級の美味しさです。もちろんお茶も花の様な何とも言えない香りが口の中に広がり暑さを忘れて楽しめます。
九份は夕景の美しさでも有名です。屋上席からは美しい景色が見渡せます。見下ろせば基隆の街に停泊している船の姿も見えてきます。
この海側の景色を座りながら楽しめるテーブルがゲットできればとてもラッキーですが、もし他の席になってしまっても景色を楽しめる場所は用意されていますから大丈夫です。
館内ではもちろんお土産用に茶葉も販売しています。それなりのお値段ですがお味は確認済みなので間違いありません。台湾茶は産地、種類も多く味も様々です。
日本茶と同じで奥が深そうです。気に入ったお茶を見つけるのにはなかなか時間がかかるものです。
九份には勿論このお店以外にも興味深い場所や絶品B級グルメを楽しめるお店がいくつものありますが今日は台湾茶の話で纏めたいと思います。
基隆地元のお茶屋さん「銀河茶行」
基隆の街に戻り街中を散策、台北からわざわざ足を運ぶ人もいるという奠濟宮とその門前に栄える廟口夜市や地元の人がお買い物をしている市場など活気があります。
奠濟宮は台湾らしい派手な佇まいですが商売の神様を祭っているとの事、いつも人で賑わっています。夜市に寄る際はぜひお参りしてみてください。
その街を離れ中山區方面へ。観光客はほとんど行かない庶民的な街中に「銀河茶行」というお茶屋さんがあります。
私が訪れた際はとてもフレンドリーなご主人が対応してくださいました。高山茶が欲しいと伝えると席を用意してくださりお茶を入れ、まずは飲んでみてください。との事。
と言っても台湾語はほとんど解りませんので簡単な英語とその後は筆談でのやり取りです。数種類のお茶を飲み比べ、その中で一番気に入ったものを購入しました。
基隆の街中の土産店やお茶屋さんでも様々なお茶を販売していますがやはりお値段はツーリスト価格であったり、既にパッケージに詰められてしまい好きな量を買う事はなかなか自由にできなかったりしますがこの店は量り売り、希望のグラム数を袋詰めしてくれました。
台湾茶も奥深い
2回目に訪れたときは顔を覚えていてくださり、また店内にある大きな木のテーブルに案内してくださり様々なお茶を出してきて色々と説明してくださいました。
高校生の息子さん、近所に住む英語堪能な友人まで呼び出してくださり皆で色々なお茶を飲み比べました。
ご主人がお茶を口に入れる時わざとずずっとすすってお茶を飲んでいることに気がつきました。ワインティスティングなどと同じで口に含む際の香りや味を確認しているのでしょうか。
このお茶屋さんは販売だけでなく製造にもかかわっていらっしゃるそうで、私が訪問したのは6月でしたがちょうど春茶が出来上がったところで新鮮で美味しいお茶が手に入るよと教えてくださいました。
ちなみに3下旬から5月中旬に摘むお茶を春茶と呼び香りが良く、春の芽は大きく柔らかい、色も明るめの青緑色。その為ビタミンやお茶のうまみ成分となるアミノ酸を沢山含んでいます。
反対に冬茶は10月下旬から11月に摘まれ味も香りも濃厚になるそうです。ただそれ以外にも夏や秋にも収穫しその季節ごとのお茶の良さがあり、またお茶の味を決めるのはそれ以外にも品種、産地、標高が深くかかわってきます。
私が購入した高山茶というのは台湾の南北に走る山脈の標高の高いところを産地とするお茶で産地も何か所かありますが、その中でも私に勧められたお茶は標高1400m~1800mの杉林渓のお茶で、高い杉林の中の茶畑は葉が柔らかく甘みを持つことが特徴との事です。香り良く、渋みのないとても飲みやすいお茶でした。
台湾茶のほとんどが摘んだ茶葉をそのまま乾燥、発酵させているためまん丸の形状です。お湯を入れ茶葉が開くと摘んだ時のお茶の葉の形がそのままにあらわれてきます。
このお茶の葉の形を見ることもお茶の品質の良さの見極めになるのだとか。一芯に2~3枚の葉が良しとされ葉が沢山ついているのは良しとされないそうです。日本茶と同じですね。
台湾茶の事を語るとまだまだ話したりないのですが、日本発着クルーズが再開され、また多くの船が基隆の港を訪れるようになることを、そしてまたこの気の良いご主人がいらっしゃるお茶屋さんを再び訪れることができる日が来る事を願っています。