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TRAVEL NOTES
クルーズ旅行記
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船旅をカラフルに楽しむ

2021.11.17
クルーズエッセイ

今年も美しい紅葉の季節になりました。黄色、赤、オレンジと街が色づいてくると、気持ちがおだやかになるような気がします。

さまざまな色は人に影響を与えるそうですね。今回はクルーズでよい効果が出るようカラフルなご提案をしたいと思います。

彩りのある食事を

まずは食事の話から始めましょう。私はクルーズの仕事を始める前、病院で薬剤師をしていました。

漢方や自然療法に興味があり、できるだけ薬に頼らないで症状を和らげる、又は病気を遠ざける工夫をいつも探していたものです。食は薬と言いますから食事はクルーズ中でも大切ですね。

一皿に多くの色が入っていると栄養のバランスもしぜんに良くなります。中華料理の八宝菜は典型的な例でしょう。さて船内にはどんな色の食材があるでしょうか。以下は単純な見た目の色分類です。

赤:パプリカ、人参、トマト、牛肉など。

黄:チェダーチーズ、とうもろこし、レモンなど。

緑:ほうれん草、ブロッコリー、アボカドなど。

紫:紫キャベツ、赤玉ねぎ、ブルーベリーなど。

白:玉ねぎ、にんにく、白身魚、鶏肉など。

茶:きのこ、ナッツ、そば、全粒粉など。

黒:黒ゴマ、玄米、キヌア、ブラックオリーブなど。

サラダならばブッフェで彩りが良くなるよう選びましょう。レストランでもし色が足りないなと思ったら、追加する方法もあります。たとえば、薬味類の刻みパセリやネギ、ニンニク、ショウガなどです。

スープにトッピングしたり、お魚やステーキに添えてもいいですね。またスパイスとして黒胡椒やマスタードは、急に頼んでも問題なく出てくるでしょう。

レモンスライスも同様に常備されていますし、私はしばしばパルメザンチーズをお願いして、スープやサラダなどに白いトッピングをしています。

デザートに色を添えるのもお薦めです。たとえばバニラアイスにキウイフルーツや苺などが追加できるか聞いてみたり、チョコレートケーキに胡桃やピスタチオナッツがないか、聞いてみても。

チーズのメニューにたいていナッツが付くので、これをお願いするというわけです。自分なりのカラフルな一皿を食べたら、きっと満足できることでしょう。

明るい色を自分のまわりに

誰にでも好きな色があるものです。つい同じ色を選んでしまい、いつも同じような色調の服になる傾向が誰にもあると思います。痩せて見えるブラック系、夏場は涼しげに見える白色など。

クルーズでは季節や海域に合わせて、ちょっと色の冒険をしてみませんか。写真の私は、わりと明るいピンクを着ています。イギリスに住んでいるせいか、年齢のせいか、最近は特に明るい色が好きになりました。

それにコロナ感染拡大で世の中は沈滞気味ですから気分をアップさせなくちゃ、という気持ちもあります。好きなピンクを着ると、確かにいい気分になり若返ったように感じるのです。

明日は赤のTシャツにしよう、などとウキウキするのも色が与える影響でしょう。

しかし明るい色がいいと言われても、誰もがそう簡単にトライできるわけではありませんね。では小物ならどうでしょう。

茶色のジャケットに合わせてオレンジ系の小さなスカーフとか、黒のワンピースに赤と白のネックレスなども素敵です。小さなショルダーバックを黄色にしたり、男性は派手めなポケットチーフも船旅ではよく似合ってしまいます。

さらにクルーズの海域に合わせて明るい色を取り入れ、楽しむこともできます。

カリブ海の海や空に合わせてブルーのポロシャツを選んだり無理ならばライトブルーの4色ボールペンなどの小物を揃えます。英国一周クルーズならばユニオンジャック色の紺、赤、白を基調に衣類や小物を揃えてみる、といった具合です。

たとえ身に付けなくても、自分のまわりに明るい色を置くことで、気持ちに良い変化が感じられるでしょう。

船内でカラー・ウオッチング

クルーズはピープル・ウオッチングが面白いという人がたくさんいます。小型船でさえ、世界各国から来た乗客が100人以上も乗るわけですから中にはユニークな人もいるはず。かつて出会ったカラフルな方々をご紹介しましょう。

まずは車椅子のおばあちゃま。黒のベレーがトレードマークでいつも被っていました。実はそのベレーのお手製デコレーションがすごかったのです。

何と7色のボンボンが全体に縫い付けられていました。「ワンダフル・アイディア!」私はつい声をかけてしまったのです。娘さんによれば、このベレーのおかげで多くの人が話しかけてくれ、友人がたくさん出来たとか。

30年も前ですが初代飛鳥で働いていた時、故ウエムラ・シュウさんに会いました。メークアップ・アーティストとして乗船されたのです。

フォーマルの夜、ウエムラさんのタキシード姿を見た人はみな溜息をついていました。何とショッキングピンクのジャケットだったのです。それが俳優さんのごとくイケメンなウエムラさんによく似合っていました。

先日ロンドンで007最新作のプレミアショーがあった時、主演のボンド俳優ダニエル・クレイグが同様のピンクジャケットを着て登場し、話題になりました。さすがセレブでカッコいい、というわけです。

でも、私はあのウエムラさんのほうがずっと素敵だったと記憶しています。

さて船内の話に戻しますと、他の乗客のカラーコーデはとても参考になると思います。

白とブルーのシンプルな組み合わせや、オリーブ色のセーターに紫色のスカーフ、黒のTシャツに真っ赤なスニーカー、透明なクリスタルのフォーマル用の杖!など、いつか自分も試したいな、と思うものに出あえた時は幸せな気分になります。

その意味で船内はまるで静かなファッションショーですね。これもクルーズのささやかな楽しみです。

執筆者 | 吉田あやこ
クイーン・エリザベス2と初代飛鳥元クルー、現職はクルーズアンバサダー。
クルーズバケーション社のコーディネーターを経て現職。英国在住30年。
クルーズガイド取材アシスタントなどを含め、世界の客船約100隻に35年の乗船経験あり。
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