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TRAVEL NOTES
クルーズ旅行記
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香港オーシャンターミナルとクィーン・エリザベス

2021.11.24
クルーズエッセイ

オーシャンターミナル

香港のオーシャンターミナルは九龍半島に位置し、反対側の香港島やヴィクトリア湾付近の美しい景色を270℃のパノラマで眺められるクルーズターミナルです。

一昔前に比べ、ネオンの数は随分と減りましたが夕暮れから夜にかけてのきらめく様な景色は香港に来たのであれば必ず見てもらいたい眺めです。

元々スターフェリーなどの発着所として使われていた場所に1966年の3月、オーシャンターミナルがオープンし、112の店舗が連なる香港最大且つ最初のショッピングモールが併設されていました。

クルーズターミナルとショッピングモールを併設するという試みは世界初だったとういう事です。

当時はアメリカンスタイルのモールとして、また地下には駐車場も併設されたことから海底トンネルもできる前という事で九龍島から香港島に移動する際の駐車場としても多くの人が利用したそうです。

その後、5年に渡る大改装工事の後2017年10月に再オープン、800点以上のショップ、50軒ものレストランや複数のホテル、2018年には美しい景色が楽しめるオープンデッキも追加併設され話題のスポットとなり香港最大級の複合施設として地元の人、観光客双方に利用されています。

尖沙咀の繁華街に位置し立地も良いため、香港を訪れた方であればほとんどの人が足を運ばれた事があるのではと思います。

とはいえ、乗下船に使われるコンコースなどはまだまだノスタルジックな雰囲気を留めており、近代的なショッピングエリアとの対比が面白く、昔の香港らしさも残っています。

クィーン・エリザベスもワールドクルーズで寄港

2010年の就航翌年から2018年まで行われていたクィーン・エリザベスのワールドクルーズでも香港は毎年寄港地として選ばれていました。

2022年も英国からアジアに向かうクルーズで2月20日にサウサンプトンを出港し41日間のクルーズで香港に入港する予定です。

毎回オーバーナイトスティし(港で一泊停泊)通常の寄港地滞在では味わえない夜を満喫できることになります。

この日の夜は船内のダイニングルームも空いているテーブルが多く、乗客の皆様も「久しぶりに夕食は外で食べてくるわ。」とお出かけになります。

これは乗客だけではありません。乗務員たちもこの日は夕方からそわそわ、仕事を早く上がれた人から夜の香港の街を楽しみに外出です。

船に残っていても見渡せる夜景は文句なしの美しさです。

香港で人気のアトラクションの一つに毎日午後8時から13分間に渡り、九龍半島と香港島の間のヴィクトリア湾で華やかに開催される光のショー「シンフォニー・オブ・ライツ(幻彩詠香江)」があります。

なんと、このショーをデッキで、または客室のバルコニーから楽しめるという贅沢なおまけもついています。香港でオーバーナイトスティの機会がありましたら是非船上からの夜景を楽しむことをお忘れなく。

我々が香港の景色を楽しむと同時に、陸地側からは着岸中のクィーン・エリザベスを眺めに来る人で溢れかえります。

併設されているハーバーシティモールには毎回驚くほどの見物客が入れ代わり立ち代わりに集まり、クィーン・エリザベスをバックに大写真撮影会となっています。

船側もそれを心得ているのかオーシャンターミナルに着岸するときはいつも「入り船(いりふね)」で接岸です。「入り船」とは文字通りですが接岸時に船首から入り停泊する係留方法です。

反対に「出船(でふね)」は出港する際、直ぐに進行方向に進める様、船尾から係留する方法です。車で例えると、駐車する際の前向き駐車が「入り船」、後進で車の後尾を奥にして停めるのが「出船」です。

オーシャンターミナルの場合、入り船で接岸すると陸側から迫力ある船首からの姿を見ることができるというわけです。

残念ながらオーシャンターミナルは年内は客船の受け入れを停止しています。2022年1月からは再開の予定。多くのクルーズ船が寄港スケジュールをたてています。

啓徳クルーズターミナル

とはいえオーシャンターミナルに停泊できる大型客船は一度に1艘のみ。

寄港する船が増えるに従いオーシャンターミナルに接岸できず、コンテナターミナルなどに接岸しなければならない事も増え、2013年には啓徳クルーズターミナルがオープン。

大型船に対応すべくスペースも十分に取って有り、乗船・下船、バゲージハンドリングなどスムーズに行われるようになりました。

現在はゲンティン・ドリームとクアンタム・オブ・ザ・シーズが香港在住者限定クルーズこのターミナルを発着地として行っています。

屋上は植栽が美しく散策にもピッタリな場所で乗船前や寄港中時間があれば足を運んでみたい場所です。勿論ヴィクトリア湾をはさんで香港島の景色も楽しめ、清々しい気分になれます。

この啓徳クルーズターミナルは過去、香港の国際空港があった場所で当時の滑走路を利用してターミナルが作られています。

1998年に新たにチェクラップコク国際空港がオープンし、その年の7月に啓徳国際空港は閉鎖されました。

それ以前に香港に行ったことのある方であれば、高層アパートを横目に飛ぶスリリングな離着陸時の様子を機内の窓から覗いたことを覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

香港空港に降り立つ前から香港に来たことを実感しワクワクした気持ちになったことを覚えています。

日本寄港、そして日本発着のクルーズの再開を!

香港も人気の寄港地ですが、日本の寄港地も外国からの乗船客にもとても人気があります。

特に各寄港地でのおもてなしは他の国に群を抜いて評判が良く、日本に船がいる間、出港風景で涙を流して手を振っているお客様や、港の暖かいおもてなしを受け心が温まって、それだけでもクルーズが楽しくなるとおっしゃってくださるお客様など、エレベーターで出会ったお客様に日本寄港を楽しめたと私にまでお礼をいただいた事もあります。

それだけ多くの方の心に強い印象を残しているのだと思います。

日本発着、それに前後して行われるアジアクルーズや太平洋横断クルーズが再開してくれる日を皆共に願い、待とうではありませんか。

※現在新型コロナウィルス感染症対策の一環により一部状況が異なる場合がありますのでご了承ください。

執筆者 | 前村あけみ
学生時代、日本の旅行会社によりチャーター運航されたYAO HUA(耀華号)に姉にお金を借りて乗船しクルーズの楽しさを知りビックリ!世の中にはこんな楽しい世界があるという事を知る。その後、その船にスタッフとして乗船勤務した後、株式会社クルーズ・バケーションに入社。プリンセス・クルーズ、キュナード・ライン、リージェント・セブンシーズ・クルーズ、P&O クルーズ、オリエント・ライン等の多くの船会社の販売に携わる。 又プリンセス・クルーズのアラスカのシーズン中にはクルーズ・コーディネーターとして乗船。 14年勤務の後フリーランスとしてプリンセスクルーズ、キュナード・ライン、セレブリティ・クルーズ、ロイヤル・カリビアン・クルーズ、ノルウェージャン・クルーズ等日本に紹介されている多くの客船にコーディネーターとして乗船。
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