クルーズ中さまざまな催しが毎日あるものです。運動のプログラムやダンス・手芸教室など多種類にわたるので、誰でも好みのイベントをみつけることができるでしょう。ときには船全体の楽しい行事があるのをご存じですか。
今回は3つに分けてご紹介します。既に体験されているかもしれませんね。
カレンダーに合わせた季節の行事
どの国でもお休みやホリデーは毎年の年中行事になっていますね。日本ではお正月から始まって、ゴールデンウイークや夏休み、お盆など、帰省して家族が集まる機会になっています。
西欧の社会ではこの暦がキリスト教の行事に連携することが多く、数世代が一緒にファミリークルーズをする機会になっています。大型客船にコネクティングドア付きの客室があったり、6人ぐらいが同室できるスイート室が多いのはこのためなのです。
行事の例を挙げてみましょう。
- クリスマスデー(12月25日)
- ニューイヤーズイブ(12月31日)
- ニューイヤーデー(1月1日)
- バレンタインデー(2月14日)
- パンケーキデー(英国系、2021年は2月16日)
- イースターデー(2021年は4月4日)
- ハロウィン(10月31日)
- サンクスギビングデー(2021年は11月25日)
という具合です。クリスマスのように毎年同じ日である場合と、イースター(復活祭)のように毎年移動するものがあります。
イースターやハロウィン、クリスマスなどは春休みや冬休みと重なり一週間以上のホリデーとなるのが普通です。
このような行事が近づくと、どの客船も船内中を飾って雰囲気を盛り上げます。日本船もクリスマスの時は写真スポットがいっぱい。新年を迎える時はロビーなどでカウントダウンが行われるのも定番になってきました。
さて写真にあるパンケーキデーは英国船らしいイベントになります。かつてキリスト教信者は復活祭前になると40日断食したそうです。その直前は戸棚にあった小麦粉や卵を使い切ってパンケーキを焼いたとか。
この日を迎えるとキュナード社の客船ではクルーが部署対抗のレースを行うのが毎年恒例になっています。パンケーキが入ったフライパンをひっくり返しながら走るというのがルール。レース後は、英国風パンケーキがブッフェに並ぶので乗客はレモンを絞って砂糖をかけていただきます。
海域によって開催されるセレモニー
航海中に行われる有名なイベントは赤道通過祭でしょう。別名ネプチューン祭、赤道祭とも。客船に限らず、多くの船舶が赤道を通過する際(退屈しのぎに?)に行っているそうです。
その歴史は古く帆船の時代には安全祈願でした。なぜなら赤道付近はスコールが多く難所だったからです。よって船上のイベントでは、海の神ネプチューンに生贄(乗客のボランティア)を捧げて通過させてもらいます。
通常プール脇で行われるイベントです。時にはキャプテンでさえ、制服のままプールへ投げ込まれることも。この通過祭後、多くの客船は乗客名入りで「赤道通過証明書」を発行してくれます。乗船の記念になるお土産ですね。
赤道は横の線(緯線)ですが、縦の線(経線)を通過する時はどうでしょうか。太平洋の真ん中にはフィジーやサモア独立国などがありますが国際日付変更線も近くに存在します。
西から東へクルーズで本線を超えると-1日になり、逆方向ならば+1日に。時差の調節によって生じる誤差を正すためですが、クルーズならではの体験でしょう。飛行機ではありませんから。これはイベントではありませんが、船内で愉快な「事件」が必ず紹介されます。
まず船内新聞には、-1日で日付が一日消失するため誕生日がなくなってしまった乗客の名が出ます。逆に+1日の場合は同じ日が続くので一年で2歳!歳をとった事になってしまいますね。
また操舵室の正午位置アナウンス時にキャプテンがわりと真面目にこんな話をする事も。「皆さん、もう気がつかれた方もいると思いますが、本船は午前2時ごろ国際日付変更線を超えました。ゴットンという感じで、変更線を乗り越える時に、揺れましたよね?アレがそうでした。」
英国人でさえ、こんな放送を聞いて本気にする人もいるのですから、そんな笑い話でも盛り上がるというわけです。また北極圏(北緯66度33分以北)の通過時に、お祝いを兼ねてパーティが開催されることもあります。日付変更線通過も北極圏通過も、たいていカラーの証明書が届くことでしょう。
船社記念日などのお祝いクルーズ
クルーズじたいが大きなイベントになることがあります。2021年10月にはにっぽん丸30周年記念クルーズが行われました。30年間を振り返るトークイベントがあったり、オリジナルネームタグなどの記念品が進呈されたそうですね。
飛鳥Ⅱの30周年オープニングクルーズは同年11月2日から3泊。アニバーサリーディナーなど、ファンならば乗ってみたくなるもの。記念イベントだけではなく、船内新聞やメニューなども「お宝」になるはずです。
2015年5月私はキュナード社の創立175周年クルーズで、クイーンヴィクトリア号に日本人コーディネーターとして乗船しました。クイーンエリザベス号、クイーンメリー2号の3隻が創立時の本社があったリバプール港に揃い踏みしたのです。
最大のイベントは、英国空軍のレッドアロー機が記念飛行したこと。ユニオンジャック旗3色の煙が美しく空に描かれました。船上体験できるイベントというのは特別感があります。クルーズを選ぶのはふつう乗船日や寄港地などですが、イベントという選択肢もありかしら、とこの時思ったしだいです。