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TRAVEL NOTES
クルーズ旅行記
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船上でも良い睡眠を

2022.03.01
クルーズエッセイ

乗船すれば「揺りかご」のように感じられて良く眠れるという人がいれば、入眠まで通常より時間がかかるという人もいるようです。

クルーズで充分に休むにはどうしたらよいでしょうか。ちょっとした工夫でラクになるかもしれません。客船やクルーズの種類によって異なりますが予約前や乗船中に可能なことをご提案したいと思います。

ベッド、枕、リネン類、掛布団など

まずは安眠しやすい環境が大事ですよね。ご夫婦で2台のベッドにするか、ダブルベッドにするか等、予約の段階で皆さんリクエストされていることでしょう。

また音に敏感な方は、静かな場所のキャビンが理想です。エレベーター付近やブッフェの真下、人が歩くデッキの下などは騒音が気になることもありますから。乗船後ではなく予約時に希望を伝えておきましょう。

客船によって枕コレクション(ピローメニュー)があります。堅い、柔らかい、そば殻、ダウン、ネック用、体圧分散まくらなど。乗船前に旅行社から情報提供もありますが、お薦めは乗船後にキャビン係に頼んで現物を見せてもらうこと。まったく選択の余地がなければ、同じ枕を複数個借りて足の下に置いて休むのはいかがですか。

シルバーミューズの客室
撮影:Douglas Ward

シーツなどのリネン類はわりと種類があるアイテムです。扱い易いポリエステル入りが一般的ですが、ラグジュアリー船ではイタリアやエジプト製の綿100%が使われ、優しい肌触りが提供されています。シーツ交換の回数は船によって異なりますが、必要ならば好きな時に依頼できるでしょう。

また外国船で冷房が効きすぎて、毛布だけでは寒かった経験はありませんか。追加毛布をもらったり、掛布団Duvetデューベイがあるか、聞いてみましょう。寝具は意外と寝心地に影響するものです。

運動と軽い夕食&ドリンク

クルーズ中の運動はダイエットのためだけではなく、心地よい睡眠を得ることにも役立ちます。エレベーターの利用を減らしたり、ストレッチ教室に参加、朝昼晩と食事前にデッキを一周することから始めても。そして何かひとつ、今まで体験したことがない運動にトライするのもお薦めです。

QE:ストレッチ教室
写真・文

2本のポールを使って歩くノルディック・ウオーキングや大型船ならば「ロック・クライミング」、または温暖なエリアならば、水中エアロビクス教室があるかもしれません。疲れる前に止めるのがコツ。30分以上の昼寝が必要にならないよう、調整するとよいでしょう。

夕食が遅くて重いと、安眠しにくいのは容易に想像がつきます。かといって、せっかくのクルーズですから好きな物を食べたいもの。食事が睡眠に影響しているかな、と感じ始めたら工夫のタイミングかもしれません。

  • 早めの時間にしてみる
  • 食べる物は特に制限せず、よく噛んでゆっくり
  • 満腹の一歩手前で「ご馳走さま」

 

お肉や揚げ物はカロリーや消化時間が気になりますが、上記を守ることで胃腸への負担が軽減します。
そしてお皿に残すことに慣れること。フードロスも減らしたいですが体も大事です。ゆっくり食べて、適当なところでナイフやフォークを置きましょう。

軽い夕食:スチーム野菜を追加しても
写真・文

お食事にビールやワインもかかせませんね。料金に含まれるインクルーシブならば、その恩恵を享受したいもの。お酒を楽しむ時は、お水または氷水のグラスをお供にすれば飲み過ぎを防げます。水分はアルコールを体内で薄めてくれますし、水分を補給していくとたくさん飲めなくなるものです。ベッドに入る前に、できるだけ胃腸が休める状態にしてあげましょう。

眠れない夜のために

船上では、シンデレラのように12時前の「帰宅」は至難の業だと思います。ディナーや夜のエンターテイメント、カジノや人々との語らい、バーで一杯など、「終電」や暗い夜道を気にしなくてもよいのですから、ついつい午前様になってしまいますよね。

疲れてキャビンに戻り、入浴してベッドにもぐりこんでも、夜中に目が覚めてしまうことがあります。飛行機で乗船した場合の時差ボケも、理由のひとつ。または胃腸の不調、体が乾燥して足や手の痒みなど。こんな場合は自分で解決しなければなりません。

万が一に備えて、薬剤師の私は以下をクルーズに持参しています。

  • 常備薬(総合ビタミン剤を含む)
  • ボディローション、ハンドクリーム(乾燥予防)
  • 枕元に置くラベンダー油
  • 眠れない時に読む本
  • カフェイン抜きのお茶(ミント、ルイボス、カモミールなど)

 

寝る前にラベンダー油を数適ティッシュに垂らし、枕元に置くのが習慣です。香りでリラックスし眠気を誘い出すのに役立ちます。

夜中に目が覚めてしまったら、無理に寝ようとせず、本を読むことに。同室者に迷惑ですから、バスルームへ行くことも。必要なら、持参したお茶を作ります。お湯とスライスレモンの組み合わせもいいですね。

避けたいのはスマートフォンなど、デジタル機器をいじること。画面から発生するブルーライトで、脳が覚醒されてしまうそうですから入浴後は使用を控えたいですね。

ぐっすり熟睡できたら、エネルギーが充電されて翌日も楽しい一日が過ごせることでしょう。

執筆者 | 吉田あやこ
クイーン・エリザベス2と初代飛鳥元クルー、現職はクルーズアンバサダー。
クルーズバケーション社のコーディネーターを経て現職。英国在住30年。
クルーズガイド取材アシスタントなどを含め、世界の客船約100隻に35年の乗船経験あり。
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