2022年2月初め、英国のキュナードラインが新造船の名前を発表しました。その名はクイーン・アン。当社にとり249隻めになる客船です。現在イタリアにて造船中で、2024年初頭にデビュー予定とのこと。英国の女王名を冠した客船が計4隻になります。各船の特徴をみてみましょう。
- 新造船クイーン・アン
- 旗船クイーン・メリー2
- 双子の姉妹クイーン・エリザベス&ヴィクトリア
新造船クイーン・アン
英国では君主が女王の時代に国が栄える、といわれています。大英帝国時代のヴィクトリア女王をはじめ、現在のエリザベス女王がその好例ですね。
18世紀に在位されたアン女王の時もそうだったといえるでしょう。
建築では新しいクイーンアン様式が生まれ、流行し始めた紅茶文化では女王が好んだ洋ナシ型ポットが評判になりました。ロンドンの王室御用達の高級食料品店フォートナム&メイソンは「クイーンアン」というオリジナルティーを販売しています。
創業者の一人フォートナム氏はアン女王の従僕で、創業時はアン女王が君主だったのです。当社の製品は姉妹船もショップに在庫していましたから、きっと本船でも販売してくれるでしょう。
映画「女王陛下のお気に入り」(2018年)はアン女王を描いた宮廷ドラマです。英国人オリビアコールマンはアカデミー主演女優賞を獲得し話題に
なりました。またクイーン・アン(11万3千トン、乗客定員約3千人)の初代船長には女性のインガー・ソルハウジ船長が任命されました。今年5月から処女航海シーズンが販売されるそうです。
旗船クイーン・メリー2(QM2)
2004年に就航したクイーン・メリー2は15万1千トン、乗客定員2705人で当社を代表する旗船フラッグシップです。世界には3百隻以上もの客船が運航されていますが、本船だけの特徴が幾つかあります。英語で言えばワン&オンリーですね。
- オーシャンライナーである
- ケンネルがある
- 郵便ロイヤルメールを運んでいる
- プラネタリウムがある
航空機がなかった時代のオーシャンライナーと同じ伝統を維持しているのがQM2なのです。英国の母港サザンプトンから米国のニューヨークまで今も定期航路を維持しているのは本船のみ。2022年で創立182年を迎えるキュナードラインは大西洋横断クルーズの時はケンネルにペットを預けたり、船内の赤いポストに郵便を投函できるのです。
洋上初で唯一のプラネタリウムがあるのは、7日も続く長い航海日があるため。宇宙や星座を紹介するプログラムが3本ほどあり、各国語で楽しめます。英語の解説は俳優のロバート・レッドフォード氏や女優のシガニー・ウイーバー氏などで、日本語版は作曲家・俳優の坂本龍一氏が担当。予約が必要ですが無料で鑑賞できます。
エンターテイメントが充実している客船ですが地中海やカリブ海、アジアへのクルーズも運航され、寄港地観光もできる大型のラグジュアリー客船です。
双子姉妹クイーン・エリザベス&ヴィクトリア
大きさからいえば新造船クイーン・アンはQM2と双子の姉妹エリザベス&ヴィクトリア(約9万トン)の中間になります。実はエリザベス号と同じビスタクラスという船体なのですが、船首の操舵室上方に数デッキ分が追加されていますね。これが+2トンになっているのでしょう。イメージ写真を見ますと、ここは客室や展望ラウンジでしょうか。
現在の姉妹船3隻は、それぞれ「3歳」違いです。
- QM2(2004年就航)
- ヴィクトリア号(2007年就航)
- エリザベス号(2010年)
ヴィクトリア号のみコーンウォール公爵夫人カミラが命名されていますが、他の2隻はエリザベス女王が命名者です。外観はそっくりな2隻ですが、エリザベス号のみ、命名者として女王の大きな肖像画が掲示されています。かつて中央グランドロビーに近い場所でしたが現在はクイーンズルームの廊下に移動されました。
2隻の船内インテリアは少々異なりますがクルーの丁寧なホワイトスター・サービスは同じですし、船内で開催される数々のイベントや、コンサート・夜のショータイムも共に高い評価を受けています。
特筆できるのは、両船とも船内挙式ができること。船長が立ち合う人前挙式で、通常は航海日の午前中に行われます。そして正午の船内アナウンスで「ジョンさんとジェーンさんが先ほど挙式しました!」と船長が報告してくれるのです。
その後カップルが操舵室で汽笛を鳴らすのが挙式日の定番行事でした。その日はフォーマルナイトですから新郎は燕尾服で新婦はウエディングドレスでダイニングルームへ。
エリザベス号で最初の新婚さんに会いましたがご両親の4人を含め、全員が「ハネムーンクルーズ」を満喫されていました。
最後に
将来は4隻から選択できますね。新造船アン号、船内イベントを楽しむQM2、有名なエリザベス号、最も静かで落ちついたヴィクトリア号。あなたなら、次はどの女王船を選びますか。