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日本の港に外国クルーズ船が続々と寄港
今年3月から外国のクルーズ船の日本寄港が再開しました。コロナ禍の約3年間鎖国状態であった日本の港、再開が決まると同時に海外のクルーズ船の日本寄港が続々と決まり、特に春と秋は寄港ラッシュです。
2020年に完成した東京国際クルーズターミナルの3、4月の寄港スケジュールを見てみると3月2日のアマデアを皮切りにセブンシーズ・エクスプローラー、アザマラ・クエスト、MSCポエジア、オイローパ2、シルバー・ウィスパー、シルバー・ミューズ、スターブリーズが寄港、しかも同じ船が複数回寄港しています。もちろんこれに日本船も加わりますし、横浜には大さん橋、大黒ふ頭、ハンマーヘッド、山下ふ頭もあり多くの船が寄港しています。
東京国際クルーズターミナルは世界最大級の20万トンを超える大型船の寄港にも対応できる施設ですが、今春を見る限りでは中小型船、しかもラグジュアリークラスの船が寄港しています。
世界最高峰のラグジュアリー船
その中でも、3月26日~28には世界最高峰のラグジュアリー船といわれるハパグロイド・クルーズのオイローパ2が寄港しました。寄港中の見学会に参加する機会をいただき、船内を見学してきました。
船内を見学
船を紹介してくれたのはジェネラルマネージャーのデイビッド氏、船内を案内してくれたのはインターナショナルコーディネーターのシルヴァーナ氏です。英語、ドイツ語、フランス語を話されます。またハパグロイド・クルーズの日本販売総代理店である株式会社クルーズバケーションの会長、木島榮子氏にもオイローパ2のサービスなどを詳しく説明していただきました。
170年余の歴史を持つドイツのクルーズ会社ハパグロイド・クルーズの船で、クルーズ船のミシュランガイド、ベルリッツ・クルーズガイドにて、世界中のクルーズ船の中で最高得点である「5スター・プラス」を取得しています。
地球の未来を考える船
このクルーズ会社は環境問題に配慮し、使用する重油も硫黄含有率0.1%の船舶用重油を使用しています。海水を淡水化する技術を使用し、汚水処理にも厳しい条件を課しています。カップ、ストロー、ビニール袋などのプラスチック製品も極力排除。
また船内で使用している紙製品はEUエコラベルを獲得した環境にやさしいものを使用。化粧品類も植物系由来の自然派化粧品、リネン類やタオルも有機栽培による天然原料繊維から作られており、目で見ただけではわからない細かいところまで配慮されています。
世界中の港を廻るからこそ地球全体の未来を考え、その為にできることを実行している真の最新鋭船といえるのではないでしょうか。最近は日本でもよく言われるようになったサステティナビリティーを既に何年にもわたって実行しています。
知的好奇心を満たす
クルーズ中に用意されている寄港地でのショアクスカーションは知的好奇心を満たす歴史、文化、芸術、その土地に触れるツアーなどが用意されています。また自転車で寄港地を廻るツアーや、インストラクターとともに各地の有名ゴルフコースでプレーするツアーなどアクティブなツアーも用意、提供されています。
クルーズによっては有名なヨガや太極拳のインストラクターやオリンピックメダリストも乗船するので彼らのレッスンを受けることもできます。
船内ではクッキングクラスも催されます。ドイツの有名キッチンメーカー ミーレのプロレベルのキッチンが装備されていて、オイローパ2のシェフがその技術と専門知識を惜しみなく披露してくれます。新鮮な寄港地の食材を使用した、その土地ならではの料理や馴染みある品々を習うことができます。
パブリックエリア
船内をご紹介しましょう。どこも落ち着いたインテリアで居心地の良さを感じます。COLLINSは大振りの革製ソファがなんとも座り心地よさそうなラウンジです。グリーンのクッションがアクセントとして使われ、壁に飾られた現代絵画とマッチしています。
もう一つのラウンジBELBEDEREは、深いコバルトブルーがアクセントカラー。ライブラリーも併設されていて終日航海日にはここでゆったり本を読んだり誰かに手紙を書いたりするのにもうってつけの場所です。
この二つのラウンジ以外にも船内にはバーが4か所もありました。いずれのパブリックエリアも天井が高く、広々とした印象を受けます。名だたるクルーズ船の中でも最も天井高があり、その分ゆったりとした居心地の良さを感じられます。建造費を抑えるため天井は高くしたくないところをあえて高くしている、こういったところもファイブスター・プラスに評価される所以ではないでしょうか。
廊下にさりげなく置いてあるソファなどに座ってもゆったりした気持ちになるのは天井が高い事の効果が出ているように思いました。
プールサイドも同じくゆったりとしたスペース。置かれている家具もおしゃれで、こんな場所で半日過ごしてみたいと夢が膨らみます。
利用客がいるということで入り口を眺めるだけで通り過ぎたスパ&フィットネスエリアは広さ約1,000㎡。数千名の乗客定員を有する大型客船に引けを取らないサイズ感です。インドアプールの脇には暖炉まで設置されているとのこと。
その日の気分で選べる6つのレストラン
次は食です。乗客定員516名の船ですがレストランはなんと6か所も用意されています。
世界のアラカルト料理を提供するWELTMEERE。大きなガラス張りの窓が印象的です。メニューを眺めると、本日のお薦め料理に加えベジタリアン、ヴィーガンメニューも用意されています。それぞれの方の体調を考慮し、グルテンやラクトース無しのメニューまで用意できるという細かい配慮です。
アジア料理 ELEMENTSではベトナム、インド、タイ、ミャンマー、中国、韓国、カンボジアとアジア各国の料理が用意されています。
イタリアンのSERENISSIMAではイタリアならでは料理が用意されています。トリュフのタリアッテレ、サルデーニャの伝統的なトマトソースのパスタ、仔牛肉のピッツアイオーラ、仔牛肉のピザ職人風などなど、中にはタコのマリネもあります。ヨーロッパ人はあまりタコは食べないと聞いていますが、ドイツ人のお客様はチャレンジしているかなと考えながら次のレストランへ。
フレンチレストランのTARRAGONにはシェフのワインティスティングを楽しめる GRERVEも併設されています。おしゃれな床がフランスを感じさせます。
デッキ9の後方に広がるオープンデッキを備えたYACHT CLUB。ブッフェ料理を気軽に楽しめ、且つシェフが作り上げるできたての料理も楽しめます。ブッフェに用意されているお茶も種類が豊富で選ぶのに迷うそうです。
さすがと思ったのは、3月末、デッキはまだ少し肌寒く椅子には暖かそうなブランケットが用意され、天井にはヒーターも設置されていました。レストラン広さも十分でコーナーによってインテリアで雰囲気を変えていることが飽きさせないテクニックと感じました。
ヨットクラブと同じエリアに日本人にはホッとできる寿司料理レストラン Sakura も併設されています。
全てのレストラン、予約は乗船後でよいとのこと。カバーチャーチジも必要ありません。
船に乗ってからその時の気分でレストランを選べるというのはお客様目線のサービスです。また船側も直前でもお客様の期待に応えるべく、席も余裕をもって用意しているということでしょう。
客室は7つのカテゴリーをご用意
大人の船と思っていましたが、意外にも子供にも優しい船でした。キッズルーム、ティーンズルームもあり、2歳以上のお子様を年齢層に分け様々なログラムが用意されています。終日航海日にゆっくりしたい両親に預かったお子様たちはみんなで朝食を楽しむそうです。
ファミリー専用の客室も用意されており、通常客室の隣に子供専用客室がコネクティングルームとして用意されています。
一番多い客室はベランダスィートで広さは28㎡+ベランダ7㎡=合計35㎡です。十分な広さで、ウオークインクローゼットも完備。洗面所にはバスタブとシャワールームが備え付けられています。冷蔵庫の中には飲み物がセットされており自由にお飲みいただけます。
デッキ5にあるグランドオーシャンスイートは45㎡。13種類のカテゴリーの中の6番目のカテゴリーになります。
ベッドエリアとシッティングエリアは木製のブラインドで上手に空間を仕切っています。そしてベッドルームと洗面室も木製のブラインドを開閉することによって洗面所にまで明るさを取り込むことができます。インテリアも落ち着いた色目でくつろぎを演出しています。洗面室はダブルシンク、朝出かける前の支度も余裕をもって行えます。
オイローパ2の客室は全てオーシャンビューのスイートルームです。35㎡のから最大114㎡のゆとりある客室が用意されています。
船内に生花がふんだんに飾られていることも印象的でした。フローリストも乗船していて毎日忙しく水やりをしたり、鉢植え植物の手入れをしたりしているそうです。
ドレスコードはスマートカジュアル 最近のラグジュアリー船のドレスコードはカジュアル傾向が進んできているようです。ただし夜の装いを見ると皆さんとても素敵にドレスアップしていらっしゃいます。決して華美ではありませんが、思い思いにおしゃれを楽しんでいらっしゃいます。
クルーズはハードとソフトのマリアージュ
クルーズはハード面とソフト面、その両方がうまく重なり合い、そのクルーズ会社ならではのおもてなしや個性を作り上げています。実際にクルーズしてこそ、その船の良さがわかるというものです。そういった意味では今回はサービスなどのソフト面をご紹介できないのは残念です。
2025年は日本発着クルーズも行われます
「ラグジュアリーなサービスを誇り、クルー全員がお客様の立場になり、ご要望をかなえることができるように心がけ、すべてのお客様をただひとりのお客様としておもてなししています。」という言葉が心にしみこむ訪問でした。
2025年には日本発着クルーズも行われるということで既に予約も開始されています。
さあ、いかがでしょう。この究極のサービスを実体験する日本人乗客の一人となってみませんか。