やっと旅行が私たちの暮らしに戻ってきました。
徒歩やマイカー、電車、バス、飛行機、そして客船など移動の方法はさまざまな選択肢があるものです。場合によっては新幹線の「グリーン車」や飛行機の「ビジネスクラス」を選ぶかもしれませんね。
客船の場合はどうでしょうか。世界には350隻以上もの客船が現在運航されています。そのなかで客室のグレードによってワンランク上のクルーズも可能になりました。通常の客室に比べどんな違いがあるのでしょうか。具体的にご紹介しましょう。
客船の上級客室とは
映画の「タイタニック」をご覧になりましたか。主人公の二人は違う「クラス」で乗船していました。
タイタニック号には一等から三等の客室があり映画では一等船室の乗客だけが使える専用エリアが多く出ていましたね。かつてオーシャンライナーとして欧州と北米を定期的に運航してきた客船の伝統です。
その流れを引き継いでいる英国キュナードラインのクイーンエリザベスなどは現在も「グリルクラス」という上級客室を設けて乗客をもてなしています。
また大型船で知られるノルウェージャンクルーズも「ヘイブン」という上級客室の専用エリアを設置。そして大型のイタリア客船として日本発着クルーズを続けているMSCクルーズでは「ヨットクラブ」がこれに該当します。MSCベリッシマでも日本人乗客に「ヨットクラブ」客室の利用者が増えているとか。
今回は2023年6月にデビューした最新のMSCエウリビアを例にとってご説明します。
写真は船首に位置する「ヨットクラブ」客室用の専用エリアです。階下がバーラウンジで、キラキラ輝くスワロスキー階段の上がレストランになります。
新造船MSCエウリビア(約18万トン、乗客定員約6千3百人)
昨今の大型客船は大きくなり続けています。本船も19デッキまでありました。客船に比べ滞在時間が短い飛行機のビジネスクラスですと座席スペースやプレミアムなお食事などがエコノミークラスとの違いになります。しかし客船の場合は洋上で暮らすことになるので、上級客室のお客様にはクルーズをより快適に楽しめる多くの特典が追加されているのが特徴です。MSCクルーズ「ヨットクラブ」の例を挙げてみました。(客船により違いもあります)
- 専用エリア(鍵カードで入室)バーラウンジ、レストラン、プールやサンデッキ、軽食グリル&バーなど
- 上記バーラウンジやレストランではドリンク類が無料(プレミアム品を除く)
- 客室内にミニバーあり(ソフトドリンクやビール、おつまみ無料)
- WiFiとチップ無料
- バトラーやコンシェルジェのサービス
- スパの無料アクセス(サウナや泡風呂ジャグジー)
「ヨットクラブ」は会員制クラブのようなもの。静かでプライベートな空間が楽しめます。一日3回の食事はオープン時間なら好きな時間に行けますし、ご希望ならば朝食でシャンペンを頼むことも可能。
レセプションで並ぶことなくヨットクラブ内にある専用コンシェルジェのデスクで依頼もできるのです。乗船時にWiFiの繋ぎ方を教えてもらったり寄港地ツアーの申し込みも引き受けてくれます。
また「ヨットクラブ」の専用エリアは贅沢な場所にあります。船首の操舵室より高いデッキにあっていつも眺望が楽しめ早朝に屋外デッキで搾りたてのオレンジジュースやコーヒーを飲んだり夕陽を眺めながら優雅なカクテルタイムを楽しむことも。。
上級客室なので全室バルコニー付ですがシャワーだけの客室もあります。しかし無料でスパに行ける特権があり、お風呂の代わりにジャグジーやサウナが毎日利用できるのです。
大型客船と小型客船の「いいとこどり」
写真はMSCエウリビアのメインストリートともいえる船内のプロムナードデッキです。LED天井にはさまざまなディスプレイが出て姉妹船のベリッシマ同様、好評のようですね。
大型客船にある上級船室のメリットをさらにご説明しましょう。大型船の上にラグジュアリーな小型船が乗っているようなもの。よってその両方の利点が味わえるというわけです。
- 豪華なプロダクションショーが楽しめる
- 広々した屋外プールエリアと施設がある
- 大型船らしい、洋上シティの雰囲気が満載
- 多彩なショップ&カフェもあり
高級志向の小型&中型客船はプライベートな空間を静かに楽しめるのが利点です。その乗客の多くは大きなショーやイベントなどを殆ど必要としません。エンターテイメントといったらピアノのリサイタルや映画上映、コメディなどの歌手のショーぐらい。しかし歌とダンスの豪華プロダクションショーを一度でも観たことがあれば懐かしくなるはずです。
また子供たちが大喜びするウオータースライドなども大型船ならではのもの。数百人ではなくて数千人の乗客が乗っていれば多くの出会いもあるでしょう。
大型客船にある上級客室でクルーズすれば、必要に応じて両方が楽しめます。記念日など特別な機会を迎える時に考えてみたいチョイスだと思います。