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TRAVEL NOTES
クルーズ旅行記
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ドレスコードより難しいのがクルーズ旅での温度調整?!

2024.01.24
クルーズエッセイ

何度クルーズに乗船しても“悩まし”のパッキング

明後日から短い海外クルーズに行く予定ですが、頭を抱えています。真夏に同じ北半球(例えば日本から欧州の地中海など)に行くなら、なんとか日中の寄港地観光用の服、夜は少しだけ(船によりますが)おしゃれな服を日数分、クローゼットから選んで、なんとなく終わります(といいつつ、こちらを選ぶのにもそれなりの時間がかかります)。

ちなみに私は、旅行中は、下着はシャワーを浴びるときに一緒に洗ってしまい、ホテルの部屋や客室の見えにくい場所に干しておくので、何日間のクルーズでも下着(靴下やストッキングなども)は3セットほどだけ持っていきます。

しかし、秋、冬、春に海外にクルーズに行くとなれば、クルーズ自体は楽しみでもパッキングは憂鬱でたまりません。四半世紀、船に乗ってきましたが、これだけは、“ドレス選び”より難しいと思っていますが、皆さんはいかがですか。

というのも、秋や春とはいえ、行くところの緯度が違えば、気温が違います。一カ所に滞在するなら、そのエリアの予想気温だけ確認すればよいのですが、毎日のように移動するクルーズ、例えば寄港地が南北に点在している場合は、日にちと都市名を書き出して、最低気温と最高気温を書いていきます(インターネットや携帯電話のアプリで1週間ちょっと先までなら調べられます)。

春や秋の、フライ&クルーズは自宅から各寄港地の最高&最低気温をチェック。東京を出る朝の気温と寄港地の最高気温は17度差! 撮影:藤原暢子

「北上していくクルーズなら春秋物からちょっと厚手の服装も必要かな、、、」とか考えると服装選びの手が止まります。

今年の春(4月末)から、ポルトガルのリスボンから客船に乗船し、大西洋沿岸、イギリス海峡から北海に出て、アムステルダムまでのクルーズに参加しました。ポルトガルはもうすでに初夏の陽気で日中はちょっと薄めの綿の長袖シャツ(でこ夜は皮ジャン)でちょうどでした。少し北上してスペインの北西部でも同じか、天気が良くてちょっと厚めの半袖のトップス(下は春秋に活躍する綿の白いGパン)。

しかし、フランスのノルマンディ地方のサン・マロ(モン・サン・ミッシェルまで車で1時間)に寄港すると、朝から雨。ガイドさんから「あら、ノルマンディに来るのに、傘を持ってこなかったの?」と言われましたが後の祭りです。薄めのセーターの上に、薄いダウンジャケットを着て、さらに上から革ジャンを着ていましたが、雨に濡れるし、気温も低いし、寒くて散々です。

出発前も温度をチェックしますが、寄港地到着前日も調べます。海外の気温を調べる時は「The Weather Channel」というアプリが現地の時間で表示してくれるので便利

旅の間に風邪を引いたり、体調を崩したりするのだけは避けたいと誰もが思うことでしょう。午後、やっと雨は止みましたが、街を歩いていると、同じ思いをしている人が吸い込まれているお店がありました。それはコンパクトにたためるダウンジャケットを売るお店でした。

サン・マロの後もほぼ同じ緯度を移動するので、私もそのお店に飛び込んで、持参した薄めのダウンジャケットより、3倍ほど厚く長めのダウンジャケットを購入しました。

天気によって、体感温度が15度くらい違うことも……

数日後の寄港地は同じフランスでもさらに北のオン・フルールという港町でした。天気がよかったのですが、「油断は大敵」と思い、一人街歩きには革ジャンと薄手のダウンジャケットは肌身離さず持っていきました。しかし、暑くて邪魔なこと!

夕方少し前に船に戻ると、「今日はプールが気持ちいいよ!泳がない?」と他の乗客の方が声をかけてくれました(温水ではありません)。もちろん水着も持ってきていたので、このクルーズでの初泳ぎです。

厚めのダウンジャケットを買い足した2日後、北上して北海に面する港に停泊するも、お天気でプール日和 撮影:藤原暢子

厚手のダウンジャケットから水着まで……。「クルーズは楽しいけど、この気温差はどうすればよいの」と久しぶりに泣きそうになりました。

気をつけたいのは寄港地の温度だけではない

もちろん、日本の自宅にいても、春や秋は天気によったり、朝と夜で気温差がかなり違います。クルーズの場合はそれに加えて移動もしますから、寒暖差があるのは当たり前。とは言っても、持ってきている服にも限りがありますから、「今日は少し寒いな」と家のクローゼットからちょうどよい服を出すことはできません。

さらに、問題はクルーズ前から始まります。飛行機によっても設定温度が違います。「ブランケットをください」とお願いしても、なかなかすぐ貰えなかったり、ブランケットの準備がない飛行機もあります。「安定飛行になってからブランケットをお出しします」と言われて、泣きついて貸出用のカーデガンを借りたり、ブランケットが足りずに空いている席のブランケットまで拝借することもあります。

さらに船内の温度も船によって違います。私のイメージでは、日本船→欧州系の船→米国客船と、パブリックエリアの温度が低くなる気がします。レストランもドレスコードがあると、男性はジャケットを着ますし、女性はデコルテなどちょっと露出の多い薄いドレスが多いので、レストランも乗客も温度調節も難しいところです。

さらに寄港地ツアーのバスも侮れません。運転手さんやガイドさんが気を使って、冷房を効かせてくれていて、寒くてガタガタ震えるときもあります。

温度差にはたまねぎ戦法で対応!

もちろん、昔から「外国船の船内は冷えるのでカーデガンやストールを持っていきましょう」と私もアドバイスをしていました。しかし、自分が冷え性になったのか、温度に敏感になったのか、それだけでは収まらなくなってきました。

欧州では朝晩の温度差が大きいのか、「玉ねぎ戦法」というのが存在するようです。日本でいうと、重ね着でしょうか。ただ、クルーズだとちょっと長めの旅なので、荷物はあまり増やしたくないのが本音。そんな私が最近、実践している方法をお知らせします。

それは上着を重ね着するのではなく、下に着るもので体温調整をすることです。飛行機から痛い目に遭った私は、手荷物にヒートテックの長袖シャツ、同じくヒートテックの薄手レギンス、靴下を入れるようにしています。3つ入れても上手に畳めば化粧ポーチほどの大きさになります。それをグイグイとバッグの奥に詰め込みます。ストールも入れます。

薄手ですがヒートテック素材の長袖とレギンス、そして靴下。くるくると丸めてリュックや寄港地ツアーに持参します 撮影:藤原暢子

持っていく上着を増やすより、コンパクトですし、実際に温かいのです。確かに脱ぎ着は大変ですが、寒いときはお手洗いなどで、服の下に着ます(寄港地観光などでも)。

そして夏でも絶対持っていくのは、使い捨てカイロと葛根湯です。船内で薄いドレスを着る時もカイロを見えない部分(背中や腰など)に貼っておくと、かなり薄いドレスでも体を温めてくれます。体感は人によって違いますが、以前、薄めのドレスを着たフランス人女性が船上のレストランの同じテーブルで震えていたので、こっそりカイロをあげたら、「これはすごい」と喜んでいました。

体を冷やすとのどから風邪を引く私は、カイロと葛根湯と喉スプレーとのど飴(機内では保湿性のあるマスク)が、年中ポーチに入っていて、以外と通年活躍します。

機内や船内で体を冷やした時用の必需品(というか、夏以外はポーチにいれて外出の時に持ち歩いています)。機内は乾燥や温度で喉をやられるので、コロナ前から「機内用保湿マスク」を愛用 撮影:藤原暢子

最近は外国船による日本周遊が流行っていて、縦に長い日本も北海道から九州と温度が違うので、「薄いヒートテック&カイロ」は私のイチオシです。

すでに秋の東京ですが、海外から観光に来ている方を見ると、Tシャツからダウンジャケットを来ている人まで、実にバラバラ。出身国や体感温度でここまで違うのかと驚くほどです。Tシャツで大丈夫な人が羨ましい限りです。

季節が違う時には、加えてダウンジャケットと電熱ベスト!

実は11月もまた日本から南下するクルーズに行きます。東南アジアなど暑いところは、私は大歓迎(暑さには強いです!)なのですが、日本を出発する時はきっと10度以下のはず。

成田や羽田の国際空港であれば、「コートお預かり」などのサービスがありましたが、たとえば日本の港から出航だと、おそらくそのようなサービスはないでしょう。

最近はありがたいことに服のハイテク化が進んでいます。私は東京郊外で週の半分を過ごしていますが、車で50分ほどの距離にもかかわらず、東京都内より年間を通して、3度ほど気温が低いのです。

その中で犬の散歩をするので、どうにか温かい服を探すようになりました。そしてここ2〜3年間の定番となったのが、電熱線が肩や腰、胸やお腹に埋め込まれていて、充電したバッテリーを付けて温めてくれる電熱線入りダウンやベストです。

いろんなものを試しましたが、今のところセーターの下に着る電熱ベストが“ベスト”です。下に長袖Tシャツなどを着ていますが、バッテリーを付けてボタンを押すと3段階で温度が変わります。密着性もあり、ベストなので意外と薄くてコンパクトに畳めます。薄手のセータを上に着ていても気が付かれないくらいです。

バッテリーは携帯電話なども充電できる一般的ものが使えます。充電容量でサイズも違いますが携帯電話2つ分ほどのサイズ(飛行機に乗る時はこのバッテリーは手荷物となります)。

この電熱ベストと、温かいけれど薄くコンパクトになるダウンジャケットがあれば寒さもしのげ、スーツケースの中でもそんなにかさばりません。

日本出発時に10度を切っているとき(もしくは帰国時に寒そうな時)は電熱ベストを持参。小さく折り畳めるダウンジャケットも2種類 撮影:藤原暢子

雪以外は夏も冬もプレイするゴルフで使われる温かい服装や小物も参考になります(反対に熱中症を防ぐウエアも登場したりしています)。

限られたスーツケースのスペースを上手に使いながら、体温調節もうまくして、健康的にクルーズを楽しみたいものです。

と、ここに達する前にいろんな寄港地で寒くて、何度も上着を買いました。思い出になり、その後も着ているものもありますが、慌てて買うのでタンスの肥やしになっているものもあります。

寒かったり、雨が降ったり、さんざん色々な寄港地で上着やレインコートを買ってきました。ただ都会でない寄港地や寄港地ツアーの時間がない時は買えないので、やはり念入りな準備が大切ですね 撮影:藤原暢子

みなさんはクルーズでの温度対策どうしていますか。ぜひ素敵な方法をご存知の方、教えてください。

執筆者 | 藤原暢子
長崎生まれで、父は元船医、姪は客船元乗組員という海のDNAを持つ一家。1998年に英国の客船で横浜から英国まで世界半周をし、改めて船旅の魅力に開眼。フリーの編集者からクルーズ取材、撮影、執筆の仕事を徐々に増やす。2004〜2010年、2017〜2019年と約10年間、(株)海事プレス社の客船情報誌『CRUISE』の編集長を務めつつ、さまざまな媒体で国内外のクルーズを紹介(現在は同誌プロデューサー、クルーズ・ジャーナリスト)。25年間で約120隻の客船で80カ国をめぐる。仕事以外の休暇もついクルーズへ。宝物は今まで船上や寄港地で出会った人々。
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