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TRAVEL NOTES
クルーズ旅行記
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日本人の“何故”を知るとクルーズはもっと豊かに!

2024.10.16
クルーズエッセイ

夏のクルーズシーズンなので楽しいクルーズの話題にしたいなと思ったのですが、先日、ある若い女性のSNSを見ていて、彼女が発信しているインスタグラムでの情報に興味をいだいたので、それについて書きたいと思います。

1枚の写真ですが、障子、華道、陶器、光と影の使い方など、日本的な目線からだと、多くの説明ができることに気が付きます。 撮影:藤原暢子

私たちが気づいてない日本人のこと

彼女は日本の文化や、日本人が何気なく行っていること(癖や慣習)、日本語のなりたちを英語で紹介していますが、短い動画なのにかなり掘り下げています。自分で調べたり、考察した話題は、「色々な資料や本で調べてみると、このような理由で日本人はこのような反応をするのではないかという記載がありました。私は加えてこういう理由もあるのではないかと思います。みなさんはどのように考えますか?」と締めくくります(ワイドショーのような、素人が適当な結論を言うわけではなく、それを見た人も自分で考えるように問いかけます)。

多国籍の人が乗っているからクルーズは面白い!

とくに日本を周遊する外国船では日本人と外国人の乗客が入り混じっていますので、外国人乗客は日本のいろんなことに興味津々です。歴史や史跡などはインターネットやツアーでガイドさんが教えてくれますが、それ以外にも気になることも意外とあるようです。

オーストラリアの旅行ジャーナリストが「何度日本に行っても理解できないこと10」という記事を見かけましたが、一つは「自動販売機は便利だけど、台数が異常に多い」でした。確かに自動販売機は多いですし、同じ機械で「温かいドリンク」「冷たいドリンク」が買えたりします。

私にとっては当たり前の光景でしたが、その記事にいろんな日本人の人が反応していて、「日本は災害が多いので、地震などが起きた時、自動販売機は無料になり、お金を持ってなくても避難中に飲み物を入手できるというメリットがあります」というコメントを寄せている方がいました。確かに東日本大震災以降、そういう自動販売機が多くなっています。海外の方に何かのタイミングでこのような説明をすると、「日本人の災害時の備え」を理解してもらうきっかけになるかもしれません。

日本の自動販売機の多さや飲み物の種類の多さにも驚きますが、日本の掃除や洗濯に使う商品の多さにも驚きます。あなたならどう説明しますか? 撮影:藤原暢子

他国のお国柄の違いも興味深い

私は色々な国を旅したり、客船でいろんな国の方々とお会いしてきて、「ああ、この国ではこう考える方が多いんだ」と気がついたり、「もしかして、あなた方はこのことを民族的にこういう風に捉えることが多いのではないのですか」と実際に聞くこともあります。

ある民族の方と一緒に外食をした時、食事の合間に思いついた人がスピーチをするのに、私はびっくり(このスピーチは他の食事の時にもやっていました) 撮影:藤原暢子

それか「あぁ、この国の人たちはこうなんだ」と体験しながら受け入れるかです(これが一番多いかも)。大学や社会人講座で比較文化学など勉強していれば、よかったかもと思いますが、、後の祭りで経験から学んだり、考えるのみ。

例えば、欧州では色々な国が隣り合わせなので、一緒にいるときもよほど迷惑な行動を取らない限り、他人のしていることをあまり気にすることはありません。

私はイタリア人たちとよく一緒に食事をしましたが、彼らは自分楽しむことが一番大切。

つい癖で、私は「みんな好き嫌いなく、おいしく食べてるかな、会話もバランスよくできているかな」などと心配しながら全体を見てしまいます。でも多くのイタリア人は「自分」が優先事項。楽しくなければ席を離れるなり、話題を変えたりします。すなわち、誰かが喧嘩などしない限り、全体の雰囲気などまったく気にしないでいいのです。

イタリア人と食事。話したいことを話して、食べたいものを食べる。自分の“楽しさ”が優先!撮影:藤原暢子

もちろん欧州の国でも少しずつ違いはあって、その違いに気がついたり、欧州人に隣国の人の気質を聞くのはなかなか興味深いものです。

日本のこと、どのくらい説明できますか?

私の場合、海外の方から「日本に行ったけど、こういう文化が素晴らしかった。また行きたいわ」と言われると、「あ、ありがとうございます」とだけ謙遜してお礼を言うだけでした。時には海外の方が日本の文化や国民性などもっと深く洞察力のある説明をして、具体的に何が良いのか話してくれることも。それでも私は「あー、そうかもですね」と相槌だけ打ったり、「いえいえいえ」と照れ笑いしたり……。

性格もありますが、自分の国の文化や昔からの慣習をよく考えていなかったりするため、具体的に説明ができなかったことが多かったことに気がつきました。
(ちなみに「恥」の文化は日本人の行動に大きな影響を与えていますね。海外で「恥ずかしい」と言っても正しいニュアンスで伝わることはほぼありません)。

簡単な例ですが、食事をいただく前に「ボナペティ(仏)/ボナペティート(伊)」(どうぞ召し上がれ)といいますが、「日本でも何か言う?」という問いに、「えっと、食べる人が食前は『いただきます』、食べた後は『ごちそうさま』というよ。と説明して、「いただきますやごちそうさまは食材を与えてくださった自然や作り手に感謝をする言葉だよ」などと、やっと説明ができるレベルです。

また、イタリアでリゾットを食べている時、親の教えを思い出して、「日本ではね、1粒のお米に7人の神様がいると言われていて、1粒も残さないように食べるんだよ」と言ったのはいいのですが、なぜ7人の神様というのだろうと自分でもわからずにお茶を濁しました。あとで調べると、水、土、風、虫、太陽、雲、作り手の7人でしたが、日本人の自然崇拝や多様な宗教を日常的に受け入れていることなど、簡潔に英語で説明できるようになろうと反省しました。

お米を食べる国は意外にたくさんありますが、イタリアでは夏は「サラダ・デ・リゾ」が人気。色々な野菜などを細かくして入れ、オリーブオイルで食べます。 撮影:藤原暢子

ちょっと重くなりますが、時事問題として、「日本はなぜ自殺率が高いの?」などという質問などをされると、どう説明すべきか悩んで、「スカンジナビアの国々も多いよね。最近は韓国も多いね。日本と韓国は社会制度が厳しいからかな」と話題をすり替えたりしていました。
でも文化的に考えると切腹など「死んでお詫びをする歴史があった」「失敗やスキャンダルが許されにくい文化」「カウンセリングなど頼る組織が少ない」など、歴史的背景から現代事情まで、全部ではありませんが、いくつか理由を挙げることもできたはず。

その気づきは私たち日本人にも有意義なものなのかもしれないのに、日本人の良い面も残念な面もきちんと説明ができていなかったことを後悔しました。

気づきがあれば、もっと自分の国のことを学べるかも

たとえば、欧米人は皮膚がんにならない程度に、好んで日焼けしたりするのに、なぜ日本人やアジア人は日焼けが嫌いなのか……。「流行かな。最近では男性も日傘をさす人も多いのよ」という答えでなく、その裏に何か歴史や文化的な理由が隠れていないか、気になった時に調べてみるという癖をつけようと(今頃ですが)思いました。

インバウンドで日本を訪れる外国人も増え、客船で海外の方とお話しする機会も増えています。日本人は「察する文化」ですが、海外でそれは通用しません。

「日本は食べ物が美味しい」「安全」「場所や四季によっていろんな違う文化を持っている」などというのは、旅していれば分かることです。

例えば、「なぜ日本は他国と比べると安全と言われるのか」など、色々と掘り下げていくと、自分自身も意外な事実がわかるかもしれませんし、海外の方にその掘り下げた内容を伝えれば、もっとよく日本を理解してくれるのかなと改めて思いました。

私は海外取材が多かったので、実は日本の観光地や各地の名産など、恥ずかしながらあまり知りません。

それはおいおい勉強しながら、日本人もなかなか気がついていない“日本を日本たらしめているもの”にもう少し注目して、掘り下げ、いろんな側面から海外の方にちゃんと説明できるようになると、面白いなと改めて思いました。

執筆者 | 藤原暢子
長崎生まれで、父は元船医、姪は客船元乗組員という海のDNAを持つ一家。1998年に英国の客船で横浜から英国まで世界半周をし、改めて船旅の魅力に開眼。フリーの編集者からクルーズ取材、撮影、執筆の仕事を徐々に増やす。2004〜2010年、2017〜2019年と約10年間、(株)海事プレス社の客船情報誌『CRUISE』の編集長を務めつつ、さまざまな媒体で国内外のクルーズを紹介(現在は同誌プロデューサー、クルーズ・ジャーナリスト)。25年間で約120隻の客船で80カ国をめぐる。仕事以外の休暇もついクルーズへ。宝物は今まで船上や寄港地で出会った人々。
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