２０２４年１２月１日、横浜港から一隻の客船が華やかに船出していきました。三井オーシャンフジは新造船ではありません。シーボン・オデッセイが改装されて再デビューしたもの。姉妹船にっぽん丸や他船と比較したら、どんな違いがあるでしょうか。今回は本船の魅力をご紹介したいと思います。
ラグジュアリーを感じさせるハード部分
まずは姉妹船のにっぽん丸と比較してみましょう。
にっぽん丸（N丸）
２万２４７２総トン、乗客定員３９２人
全客室１９９室のうち、バルコニー付き２５室
最大客室７９㎡、最小客室１４㎡（シャワーのみ）
三井オーシャンフジ（MOフジ）
３万２４７７総トン、乗客定員４５８人
全客室２２９室のうち、バルコニー付き２０３室
最大客室８２.４㎡、最小客室２５.３㎡
両船とも全て海側キャビンなのでN丸の丸い舷窓２つからも景色が楽しめます。MOフジの客室は９割がバルコニー付きで、全室スイート仕様なのが特徴。
乗客一人あたりの総トン数を計算してみますと、57.3トンのN丸にくらべ、MOフジは70.9トンで、よりスペースがあることを示しています。就航記念の式典時に船内を歩いてみたら船内は明らかに広々していました。またシーボーン社の客船でしたので一つ大きな特徴があります。
それは世界一周など長期クルーズを想定して建造されていること。長い航海でも快適に楽しめるよう客室も公室もスペースが十分で食品の冷蔵＆冷凍庫、水や燃料タンクなど見えないバックヤード部分まで配慮されているのです。以前シーボーン社の客船でクルーズした時、ゆとりがある寛ぎを感じました。それはこんな理由もあったからなのですね。
２０２５年は１月９日～４月９日まで区間乗船を含めた南米ワールドクルーズがあり、更に同年５月１３日～７月１７日はグランドアジアクルーズなどの長期クルーズが予定されています。これらの航海で本船の居心地良さが証明されることでしょう。
フランス料理の巨匠がメニュー初監修
食事が美味しいことで評判の船社ですが、本船でさらにグレードアップした感があります。フランス最高勲章を受章し世界的に活躍する三國清三シェフがスーパーバイザーとなり、シェフ監修メニューが船内のダイニングで提供されることになりました。
最も予約がとれないフレンチレストランと言われた店の元オーナーシェフのお料理を船上で頂けるとは。空の上のメニューは手がけた経験があるそうですが船上ダイニングは初めてとか。「各地の多彩な食材を使ったメニューをお楽しみ下さい」と当シェフはコメントされています。他の客船にはない特別感がありますね。
MOフジにはブッフェを含めて４つのレストランがあります。三國シェフ監修の７皿コースメニューが提供されるのは「北斎FINE DINING」。（有料）
上位３６室のスイート宿泊者は一航海に一度２名分のディナーは無料です。しかしメインダイニングの「富士」でもディナー時の主菜を監修するそうですから、全ての乗客が本格的なフレンチを味わうことが出来ることになります。日本らしい「ジャポニゼ」という三國シェフ独自のスタイルを楽しみましょう。
「美しい日本の船旅」
２０２５年１月の時点で本船はバハマ船籍を保持していますが年内に日本船籍へ変更されるとのこと。
日本の客船として新しいのは英語を話す乗客を受け入れていく、という試みです。すなわち日本語だけではなく英語にも対応するバイリンガルな環境に。よって自然や伝統に根差した奥深い日本文化や繊細な料理などを体験できるという「日本の美しい船旅」と言うコンセプトも発表されています。
クルーズで訪れる寄港地の観光ツアーでも、その土地のシェフや職人、有識者と協力して本船でしか体験できない観光を実施していくそうです。以下にその一部をご紹介します。
＜広島＞G7広島サミットでも提供された日本酒を醸造している酒蔵を、杜氏の案内で回る。
＜高知＞伝統的な「フラフ（旗）」の技術と職人の精神を学ぶ。
＜新宮＞熊野古道専門家の案内で、伝統的なめはり寿司作り体験と熊野古道ウオーキングを楽しむ。
また韓国の済州島では伝統的な朝鮮民謡「アリラン」に合わせて披露される、華麗なテコンドーの演技を鑑賞する。
また２０２５年７月１７日までのグランドアジアクルーズ終了まで、就航記念として特典がいくつか用意されています。
・就航記念品のプレゼント
・お食事の際、メニュー記載のビールやワイン無料
・Wi―fi利用無料（お一人様一端末）
・寄港地観光ツアーのオンボードクレジット
例）８～１４日までのクルーズでは２万円相当
従来の日本船とはひと味違う三井オーシャンフジ。
これからの活躍に期待したいものです